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2007年11月14日 (水)

道路整備計画は租税特別措置法の趣旨に反する

 租税特別措置による税収減は国税で3兆1040億円、地方税で9000億円、合わせて年間4兆円になる、と『AERA』11月12日号が書いている。これとは別に、交際費課税の特例で2880億円、増収になっているという。

 その記事の中で、神野直彦東大教授は「租税特別措置はいったい誰がどの程度利用しているのか、皆目分からない仕組みなのです」、「補助金と比べれば、民主的な手続きを経ることなく、業界団体が組織的な陳情を繰り返すことで決まってしまう面があります」、「税収難で予算にシーリングをかけられて、歳出面で政策が十分にできなくなると、税の減免という歳入面で政策を打ち出すようになりました」と語っている。

 租税特別措置は「租税特別措置法」という法律(1957年。1946年成立の法を全部改正)に基づく。その第1章第1号(趣旨)は「この法律は、当分の間、所得税、法人税‥‥の特例を設けることについて規定するものとする」とある。つまり、「当分の間の特例」を定める法律である。国民の常識で「当分の間」というのはどのくらいの長さだろうか。1年とか2年、どんなに長くても5年ではないか。

 ところが、とんでもない長期間を「当分の間」とみなしている事例がある。例えば、第90条の11第1項では1976年5月1日から2008年4月30日までを「当分の間」とみなしている。また、第89条第2項では1993年12月1日から2008年3月31日までを「当分の間」とみなしている。前者は32年間、後者は15年間である。どうみても、租税特別措置法は法の目的と異なる各論を規定しているとんでもない法律である。こんなでたらめな法律が存続しているのは国会議員の怠慢である。

 ところで、具体的には、前者は地方道路税、後者は揮発油税の暫定税率の根拠とされている法規定である。本来、地方道路税法や揮発油税法に規定されている税率を2倍ぐらいに上げて、道路建設の財源に充てる税収を増やしているものだ。

 きのう、国土交通省は道路特定財源を全部、道路整備に充てる10年間の中期計画素案を発表した。国の財政全体の状況を無視して、地域に歓迎される土木事業をどんどんやろうというもので、時代錯誤もいいところだが、それはさておき、道路特定財源となっている揮発油税など税収の法的根拠が乏しいことを指摘しておきたい。

 いまの暫定税率のレベルの税収を今後も確保したいのなら、揮発油税法などの関係諸法を改正して本則税率を引き上げるべきである。国土交通省も、道路族議員も、これからも暫定税率ということにして、租税特別措置法の条文の変更だけですませる意向らしいが、それは法治国家を否定するものである。

 そもそも租税特別措置法自体に問題がある。一時的な措置なのに、本来の法律を改定するのは大変だから、という理由はわからないではないが、「当分の間」というあいまいな言葉で勝手な拡張解釈を許さない規定に改めなければいけない。さもなければ、法を廃止して、それぞれの法律自体を改正するようにすべきだろう。

 普通の法律なら、国会で審議されるが、租税特別措置法のように税に関するあらゆる分野の措置が包摂されていると、その中の一つひとつを議会がチェックするのは無理かもしれない。それが道路特定財源が膨張したまま続いてきた一因だし、道路財源でメシを食ってきた国交省などのねらいでもあろう。

 民主党が道路特定財源の廃止を唱えているようだが、いずれにせよ、経済社会情勢の変化をも踏まえ、抜本的な見直しが欠かせない。

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