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2007年11月25日 (日)

08年度予算に向けての政府、自民党の意見とりまとめ

 2008年度予算案づくりに向けて、政府や自民党の意見をとりまとめたものが相次いで発表された。11月19日に財務省の財政制度等審議会が「平成20年度予算の編成等に関する建議」を発表し、翌20日には、政府の税制調査会が「抜本的な税制改革に向けた基本的考え方」をまとめて発表した。そして21日に、自由民主党の財政改革研究会が税財政改革に関する「中間とりまとめ」を発表した。

 それぞれの意見書は、表現は異なるが、①少子高齢化による社会保障給付費増大を賄う財源をどうやって確保するか、②グローバルな経済競争のもとでいかに日本企業の競争力を確保して経済成長を達成するか、③さまざまな格差問題に税財政上どう対応するか、そして、④先進国の中で最悪の財政状態をいかに改善するか、という問題に対する解答である。

 先の参議院選挙で民主党が勝利し、与党は少数派に転落した。それがかなり各意見書に反映している。顕著にそれが反映しているのは、社会保障給付増大に対応する消費税引き上げの棚上げである。政府・与党は基礎年金の国庫負担の割合を09年度に2分の1に引き上げる際の財源を消費税引き上げで賄う考えだった。しかし、消費税引き上げでは次の衆議院選挙で国民の支持を得られないと考えたのだろう。

 したがって、いずれの意見書もあいまいな表現にし、「社会保障給付のための安定的な財源の方策についても、早急に幅広い検討を行っていくことが必要である」(財政制度等審議会)、「税制によって社会保障制度を支える安定的な歳入構造を確立することが、国民の安心につながる喫緊の課題である」(税制調査会)、「2010年代半ばに向けて、社会保障に必要な税財源の確保を図ることとする」(自民党財革研究会)と述べている。

 〔ただ、自民党財革研究会は「消費税を国民に対する社会保障給付のための財源と位 置づけ、‥‥消費税を社会保障税(仮称)に改組する」と踏み込んだ。道路特定財源のように、税収を特定の歳出項目に充てるという硬直した財政運営は将来、必ず問題を引き起こすと思うが。〕

 いずれの意見書も、消費税の引き上げしかないとの認識だが、選挙を考慮して、明示しないか、時期をあいまいにしているわけだ。しかし、社会保障給付費が国家財政の歳出の大きな部分を占めていて、かつ年々、大幅に増加しているのだから、本音としては、「「希望と安心」の持てる社会の実現」(「中間とりまとめ」)には消費税の引き上げがベストというのなら、そのことを国民にわかってもらう努力をするのが筋ではないか。もちろん、歳出の見直し、削減などを徹底するというパッケージでだ。

 「国民は必要な「出」のためには増税を拒否しない」(神野直彦・金子勝著『財政崩壊を食い止める』、2000年11月)という見解もある。国民を賢い、とみるか、増税と聞いただけで拒否反応を示す、とみるか。自民党政治は後者をとり、かつ次の衆議院選挙のためにばらまき政策をとりはじめているが、それが国民の多数の理解と支持を得るものか、そして日本という国にとって持続可能な道なのか。大きな岐路にさしかかっている。

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