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2007年11月19日 (月)

世界を見ない内向きの日本ーー斉藤惇東証G社長の話から

 先週、東京証券取引所グループ代表執行役社長兼CEOの斉藤惇氏の会見を聞いた。かつて野村證券にいて海外駐在が長かった関係で、世界の中で日本はどうか、という視点を持っている。その話は示唆に富んでいた。

 彼の話を私なりに解釈して以下に書く。私なりの勝手な受け止め方になっている部分もあると思う。

 バブル崩壊後、日本経済が停滞を続けている間に、他の主要国はGDPが伸び、証券資本市場も時価総額で大幅に増えた。米、英、シンガポール、中国などは世界の主要な金融資本市場を持つ国であり続けたいとか、なりたいとか、で懸命だ。それが端的に表れるのが税制である。

 日本の市場に欠けているのは、金融資本市場を強化するための国を挙げての総合戦略だ。「貯蓄から投資へ」を実現するための税制をとっていない。いまだに有価証券の二重課税をやめるどころか、20%か10%かと言っている。

 日本が負けないためには、商品選択の幅を広げる、国民のリテラシー(基礎的知識)を上げる、先進国並みの証券税制を採用する、の3つが必要だ。新しい金融商品を出そうとするたびに金融庁長官のOKが必要だとか、金リンクのETFが認められないとか、リスクヘッジが認められないとか、日本は役所の規制がまともな市場の形成を妨げている。

 米国は証券資本市場を徹底的に利用して国民が富んできた。年金を例にとっても、米国は世界の成長国や成長企業に投資して、運用利回りが平均して年7、8%とかになっているが、内向きな日本は極端に低い利回りだ。ハーバード大学は高い運用利回りで得たカネをもとに、世界中のすぐれた頭脳の若者を留学させているという。日本の年金が運用のプロを雇って運用させたら、公的年金の運用利回りが先進国並みに高くなり、年金財政に余裕ができる。いまの深刻な年金問題ももっと明るい展望が描けるかもしれない。

 金融分野に就職する人の割合は米8%、英10%、日本2%。金融の分野は他分野への相乗効果が高く、会計事務所・監査法人、コンサルティング、ホテルなどが発展する。

 会計基準などは世界ですべて同じというように収斂していく。日本人が皆、英語で仕事をするというのも限度がある。また、東から陽が昇るので、1日の中で真っ先に市場が始まる日本は、日本の模様を見てから判断できる陽の沈む国よりも不利だ。この言葉と地球の自転とを考えた国際化がありうると考える。

 従来の東証やマザーズ、ジャスダックなどと全くルールが違う取引所をつくりたい。それは、すべて英語で行い、国際会計基準をとり、4半期報告は不要、引受人が情報公開責任を持つ、など。ロンドンと一緒にやりたい。

 サブプライムローン問題は2年前からシステマティックリスクといわれてきた。短期資金で長期資産をという異常なミスマッチであり、マネジメントの問題だ。数理を得意とする若い人たちがやっている業務の内容を上司は理解できない。ウォッチする人がいない。そこがまずかった。

 感想:日本では貯蓄は預貯金でという人がまだ大半。そして、相続税が安いことから、不動産への投資に偏っている。株式など証券投資をまともな財産形成の核と考える人が少ない。しかし、日本を代表するビッグビジネスは外国人株主が半分ないし半分強を保有している。企業成長の果実(株の値上がり益)の相当な割合を外国人が享受している。一方で、金融機関はリスクのある企業に融資をしたがらない。新しい企業が育たなければ、私たちの雇用もないし、所得もない。ここはやはり証券資本市場を強くする必要がある。投資家がリスクのあるベンチャーに投資し、失敗もあるだろうが、成功もある、平均して高い利益率が期待できる、そうした証券資本市場を税制や法制の面でつくることが政治に求められる。財政再建にしても、経済発展なしではしんどい。 

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