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2007年12月26日 (水)

上流型の排出権取引に注目を

 『地球温暖化対策ーー排出権取引の制度設計』(2006年1月刊)の編著者である西條辰義大阪大学教授が先頃、あるフォーラムで講演した要旨が12月26日の日本経済新聞朝刊に載っている(広告記事の中でだが)。そのポイントは、京都議定書における目標を達成するため、上流型の排出権取引を提案していることだ。

 西條案によると、日本は石油、石炭などの化石燃料のほぼすべてを輸入に依存している。そこで、輸入主体(石油会社、商社など)は化石燃料に含まれる炭素量に応じた排出権を政府などから購入し、通関時点でその排出権を提示するという制度にすれば、簡潔で、かつコストがほとんどかからず、議定書で約束した温室効果ガスの削減を果たせる。

 日本ではEU型のキャップ・アンド・トレードという排出権取引を唱える人が多い。これは、化石燃料を消費する各事業者に排出権(上限)を割り当て、それ以下に抑えた事業者と上限をオーバーした事業者との間で排出権の売買をするというもので、誰にどれだけ割り当てるか、など面倒な問題が多いし、コストが膨大だ。西條案は日本の特性を生かした案で、EU型を導入するよりはるかにメリットが大きい。

 2013年以降の「ポスト2012」(ポスト京都)については上記の書物の著者の1人である安本晧信氏(元経済産業省)が試案「グローバル・エミッション・トレーディング・システム」を関係者に提示している。それによると、地球規模での排出量目標をもとに、すべての枠組み参加国に排出枠(キャップ)を初期配分する。各国政府はその排出権をすべて市場で販売することとし、国際的に自由かつ無差別に取引できるようにする。そして、各国はそれぞれ化石燃料を輸入・国内出荷する者にそれに応じた排出権取得を義務付け、通関・倉出しの際にチェックする仕組みを導入する。

 上流型排出権取引制度は京都議定書にも、ポスト2012にも適用でき、きわめて合理的であると思う。これまでいろいろな提案を読んだが、数年前に西條氏から聞いたこの仕組みが一番すぐれている。もちろん、実施に際しては細かな問題点がたくさんあるだろうが、まずは国民にこの上流型排出権取引制度を理解してもらう必要がある。

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