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2007年12月25日 (火)

調査「40歳の年収」の読み方

 『読売ウィークリー』08年1月6・13日号に08全調査「40歳の年収」が載っている。どこの会社が一番多いのか、ちょっと見てみたいという気持にかられた。

 トップはフジテレビ、次いでTBS。年収1千万円以上の会社が多い業種は放送・通信・広告、次いで商社(三井物産、三菱商事など)。それに建設・不動産・住宅(野村不動産ホールディングスなど)、銀行・証券・保険(大和証券グループ本社など)、医薬品(第一三共など)、石油(新日本石油など)が続く。ゲーム・玩具ではバンダイナムコホールディングスがある。

 しかし、載っているデータはどうも実感とは違う。例えば、三菱東京UFJ銀行の810万円、トヨタ自動車の800万円などは大卒なら少なすぎる。高卒や短大卒が多い企業だと、40歳の全社員の単純平均を計算すれば、あるいはそうなるのかもしれないが、大卒40歳できちんと比べたら、違った結果になるのではないか。そこで、改めて読み直したら、有価証券報告書の数字をとったとあったから、おそらく単純平均だろう。

 そうした疑問があるにはあるが、データから読み取れるのは、第一に、ものづくり立国とはいえ、製造業の年収はサービス業、第三次産業に比べて低いことである。よくサービス業、第三次産業は付加価値生産性が低いといわれるが、にもかかわらず給与が高いのは、どうしてだろうか。

 考えられるのは、金融などのように、規制が強く保護行政が続いてきた時代の高賃金がなお高止まりしていることだ(製造業でも、同様に規制と保護行政のもとにあった薬品や石油も高止まりしている)。放送は広告メディアとしての需要がある一方で、電波が限られ、しかも24時間を超えて放送することはできないという供給制約があるためだ。これに対し、商社はもともと高賃金であり、「商社斜陽論」を克服してビジネスを革新してきたから今日がある。

 この特集で抜けているのは外資系の企業である。彼らを調査したら、どういう結果になったか。おそらく、40歳でも2倍とか3倍といった開きがあって、平均の意味は全くないのではなかろうか。

 日本経済団体連合会が最近発表した2008年版「経営労働政策委員会報告」は「仕事・役割・貢献度を基軸とした賃金制度への移行をさらに加速していくことが求められている」と言っている。

 そして、世界的に高度人材の獲得競争が行われているとし、高度人材とは「複数の専門能力、課題設定・解決能力、企画・マネジメント能力に加え、国際社会で求められる語学力、プレゼンテーション能力などを備えた人材である」と述べ、なかでも「問題の本質を的確に把握した上で、自ら主体的に考え、価値創造、事業革新を担うことのできる自立型人材」を企業は重視すると言い切っている。

 外資系企業の賃金は、そうした自立型人材に相当に高額の給与を出しているのに対し、経団連は、日本の企業も同様の方向に変わるよう問題提起をしたわけだ。そうなっていけば、ここで紹介した週刊誌の調査のようなことはあまり意味がないことになるだろう。

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コメント

記事内の特定企業に勤務する知人の話では、有価証券報告書に記載する年収欄は法的な規制がないことから時流を観ながら適当に埋めているとのことでした。
 
つまり、ご指摘の通り虚偽記載がある様子です。その理由ですが、実態よりも少なくしないと納入業者や行政機関から不平不満が出ることを恐れているそうで、逆に高くする目的は、新入社員の求人にあたって見栄を張るそうです。高額な年収であれば優秀な人材が集まることを期待してのものだそうです。
 
いずれの理由も正当性に疑問は残るものの納得できるような部分も確かにあります。それに、裏事情も知ると尚更です。

投稿: たぁ坊 | 2008年1月 8日 (火) 13時38分

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