« 地方自治体の歳出削減は甘い、総務省も甘い | トップページ | 引き込まれた「ゴルフ道」小説 »

2008年1月14日 (月)

農業の従事者をどうやって確保するのか

 全農(全国農業協同組合連合会)が14日付けの全国紙に載せた1ページまるまるの広告は「今のままでは、近い将来、安心して食べられる国産畜産物が手に入らない時代がやってきます」とある。粗忽者の私は「畜産物」を「農産物」と読み間違えてしまった。なぜなら、以下のようなことが頭にあったからである。

 日本の農家の高齢化は急速に進んでいる。14日付けの日本経済新聞によると、農業就業者(販売農家のみ)は312万人。そのうち、70歳以上が141万人と半分近い。65歳以上でみると185万人、60歳以上とすると215万人になる。多くの企業は定年が60歳だが、日本農業はこうした定年退職者以上の年齢の年寄りが3分の2強を占めているのである。

 若いほうは、40歳未満が全部で28万人しかいない。40歳以上50歳未満にしても、21万人にとどまる。こうした現状をもとに10年先を予想すると、農業の担い手の数が激減することは明らかだ。すでに、農業の跡継ぎがいないということで耕作をやめたり、離農する農家が相次いでいる。担い手、つまり供給の面から、日本農業の崩壊は始まっていると言っても過言ではない。

 一方、消費者のほうは、安全、安心を重視して国産農産物を購入しようとする人が増えている。石油などの値上がりで輸入農産物の輸送費が上がり、しかも実質為替レートで円安が進んだので、国産と輸入農産物との価格差が縮む傾向にある。需要面で、日本農業にフォローの風が吹いている。

 したがって、農業協同組合の活動は日本農業を持続可能なものとするために、いまこそ農業の担い手をいかに増やすかについて、国民的な広い視野に立ち、真剣に取り組む必要があるのではないか。

 農業は若い労働力の投入を待っている。都市部では安定した仕事に就けなくて困っている若い労働力が余っている。そうしたマクロ的にいびつな状態を改めることができれば、都市部と地方の格差などというものも変わるだろう。そのためには、農業に関わる既得権益に手をつけることも必要になる。

 JAグループは各地の農協―県単位の組織―全国組織の3重構造である。かつ、全国組織は全農(経済事業)、共済連(共済事業)、農林中金(信用事業)、全中(指導事業)と分業し、それぞれの傘下に県単位の組織が別々にある。その結果、それぞれの狭い分野での利益極大化を追求するきらいがある。換言すれば、国民の利益を踏まえた日本農業はどうあるべきかのビジョンがあるのかないのか、JAグループから国民に何ら伝わってこない。

 全農にしても、「生産者と消費者を安心で結ぶ架け橋になります」というスローガンを掲げているが、肝心の生産者が将来にわたって存在するのかについて、消費者を安心させる情報を全く提供していない。これでは、消費者は心配にならざるをえない。 

|

« 地方自治体の歳出削減は甘い、総務省も甘い | トップページ | 引き込まれた「ゴルフ道」小説 »

コメント

全国の農業高校、大学の農学部出身者が農業に就業していない現実を改善する必要があるのだろう。卒業後に将来の事業資金を稼ぐために丁稚奉公、あるいは、品種改良に尽力し、地域に方法を伝授したり、公演をしながら資金を補填しながら、小説を書いていた宮沢賢治を例として、小説でなく、農業に、その資金を回して打ち込めば、新たな農業が実現できるのではないだろうか。
 
最近、日本の輸出が開始されたと報道があった。国内で豊作になった年でも海外は不作の場合も多い。台風の経路によっては十分に考えられることである。国内の米が不作だった時、緊急輸入措置を採ったことが記憶にあるが、豊作のときは、輸出することで、つまり、内外比率を操作することで、食物を無駄にせず、保存食品ばかりでなく、底値を押し上げる方法とできれば、農業の売上が安定し労働者も増えるのではないだろうか。天災の対策はもちろん別途ひつようであるのは当然である。

投稿: たぁ坊 | 2008年1月18日 (金) 15時10分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 農業の従事者をどうやって確保するのか:

« 地方自治体の歳出削減は甘い、総務省も甘い | トップページ | 引き込まれた「ゴルフ道」小説 »