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2008年1月 2日 (水)

これから世界、日本はどうなる、どうする?

 例年、元日に一般紙をすべて買ってくる。世界と日本はこれからどうなるのか、について新聞がどのような視点や切り口でどこまで掘り下げて書いているのか、読むためである。

 かつては特ダネ競争が激しく、元旦の朝刊にアッと言わせるニュースを載せるため、どこの新聞社も必死だった。その名残りはあるが、近年は企画・読み物に重点が移ったようにみえる。その中で、ことし、各社に共通している主要なテーマは地球温暖化である。

 1月1日、京都議定書の約束期間に入ったし、昨年12月、バリで開催された気候変動枠組み条約締約国会議で、ポスト2012(ポスト京都)のロードマップができた。温暖化はいまも進んでおり、社会や自然への悪影響も増している。温暖化をどの程度までにとどめられるかによって、悪影響の度合いも違う。いまの予測の最悪ケースでは、100年後に人類はほとんど生存できない。早く手を打たねばならない。そうした危機を国民に伝え、それを受けて国民一人ひとりが行動を始めるのに、新聞などメディアは大きな役割を果たし得る。ことし、新聞などメディアには、広く、深く、多様なアプローチでこの問題を取り上げることを期待する。

 日本の危機をさまざまな面で取り上げる企画・読み物や特集もそれなりに読みごたえがあった。アジアの変貌、日本経済の地位低下、社会保障問題などに関するものだ。ITなど科学技術については少ないという印象だった。ただ、日本が内向きになり、世界の中で急速に影響力を失っていることについて、日本経済新聞しか大きく取り上げていないのは奇異に感じた。環境問題もそうだが、今後の世界をどう舵取りしていくかを、世界第二位の経済規模の国、日本も構想し、時にはリードしていく必要があるのではないか。

 元旦の新聞で欠落していると思ったのは、国内外のすぐれた思想家なりに登場してもらい、今日の世界や日本を鳥瞰し、未来を展望してもらうといった読み物である。いま、専門家といわれる人々の話は、群盲象をなでるのたぐいがほとんどであり、ドラッカーのように複雑、多様な内外の出来事を透徹した観察力や分析力でとらえるには程遠い。あるいは3日付け朝刊にそうした読み物が登場するのかもしれないが、メディアにたずさわる人たちに、いまのジャーナリストに求められる役割は何かを突き詰めてもらいたい気がする。

 財政改革に限って付言すれば、産経新聞の社会保障特集に載った4人の談話は刺激的だった。井堀利宏氏は「高齢者の政治的な発言力が強すぎる。今後、数が増えれば、社会保障のために、消費税を際限なく上げろとなりかねない。給付減は必要だ」と言い切る。城繁幸氏は「現役世代の負担をいかに和らげるかと言う視点で議論が進められるべきだ」、「給付については、医療・介護だけでなく、高齢者向け全体で3割削減という大ナタを振るうべきだ」、「“高齢強者”には大いに自己負担を増やしてもらいたい」と述べる。

 樋口美雄氏も「若者にこれ以上の負担を求めるのはむり」、「財政の比重を子供を持ちたい人が持てる政策に傾けるべきだ」と言う。また、樋口恵子氏は「日本は他の先進国に比べ、社会保障負担は高くない」、「財源は企業負担をもっと求めるべきだろう」、「企業はパートタイマーらを厚生年金に入れたがらないが、未来に向けて貧困という負の遺産を積み立てるようなもの」と指摘する。

 新聞には、このように、さまざまな見解を紹介し、社会保障制度をどう変えていくかについて、社会の合意、すなわち着地点を形成していく場を提供することを望みたい。

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