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2008年2月 2日 (土)

毒入りぎょうざ事件で見えた日本の危うさ

 この国では、大きな事件でも、2~3ヵ月もすれば、大抵忘れ去られる。しかし、中国河北省の天洋食品工場で作られ、日本に輸入されたぎょうざに殺虫剤のメタミドホスが含まれていた事件は、オリンピックを控える中国にとって大打撃だが、日本に対しては基本的な食の現状を問い直すよう迫っていると思う。

 これまでも、輸入した中国産のうなぎ加工品、冷凍ほうれんそうなどに有害化学物質が使われていたため、輸入が禁止されたことがある。このため、近年、日本の企業は中国からの輸入食品の安全性を確保するため、農薬のチェックや食品工場の衛生管理などに力を入れているが、周辺農地の農薬までチェックするわけにはいかないなど、努力にも限界がある。

 食品偽装など日本も威張れたものではないが、中国は農薬や添加物などの使用状況をみると、日本よりも食品の安全性を確保する仕組みがまだ弱い。しかし、人件費が安い中国でつくられた食材のほうが、日本産よりもはるかに安いので、素材、加工品のいずれも日本の業務用、家庭用に浸透している。中国やその他のアジア諸国の食材は安いけれども、安全性のリスクは高いのである

 したがって、生協のようなところがたくさん扱っていたというのは驚きだ。生協の中には売れるものなら何でも扱うというところがあるが、理念を失っている生協がいたずらに存続するのは問題がある。また、小学校、中学校の給食でも、中国などからの輸入食材を使用しているところが相当あることが明らかになった。一切禁止すべきだなどというのは行き過ぎだが、食の安心、安全とかフードマイレージといった環境教育的な見地から地産地消に意識的に取り組むぐらいはしていてほしかった。

 日本では、農業に従事する人々の高齢化などで、耕作放棄地は年々増え、1割をゆうに超えている。他方、安い食材を求める結果、アジアを中心とする外国への輸入依存は下がりそうにない。しかし、農業は天候異変や水資源不足に大きく左右されるだけに、過度の輸入依存は食の安全保障上、不安がある。

 というわけで、短期的にも、長期的にも、食をめぐる私たちの安心、安全に対する保障は危ういのである。毒入りぎょうざ事件を契機に、食の安全保障をめぐる議論が高まってほしい。

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コメント

生協の杜撰さには驚きました。
これでは、確かに設立当初の理念はなく存在意義はありません。
 
公的機関の50件以上同じ案件が集積された場合か、医師等の指定機関からの特に要請のある通報のみ検査対象とする仕組みを知っての対応か否かが興味のある部分です。

投稿: たぁ坊 | 2008年2月 2日 (土) 22時46分

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