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2008年2月 8日 (金)

店長への残業代支払い

 日本マクドナルドの店長に残業代を支払うよう命じた東京地裁判決(1月末)を受けて、セブン―イレブン・ジャパンも直営店について、管理職である店長に残業代を支払う方針を固めたという(8日付け日本経済新聞朝刊)。管理職という位置づけは変えないが、店長手当を大幅に削減するとのことだ。

 その昔、三洋電機の社長、井植薫氏は「管理職は24時間、会社のことを考えるべきだ」と言った。マクドナルドやセブン―イレブンの店長はそういうイメージの管理職ではない。ただ、店長は店の責任者だから、管理職的な要素も一部ある。したがって、セブン―イレブンが残業代を支払うことにするのは適切な対応だろう。

 ただし、制度を変更するのに合わせて、同社は従来、平均45時間だった残業時間を30時間に短縮するという目標を設定したという。総人件費を増やさないどころか、減らそうということらしい。転んでもただでは起きないがめつい経営である。

 残業問題については、このブログで幾度か取り上げた。昨年2月10日の「『家庭のだんらん』考、同2月14日の「時間外労働と賃金割増率を云々する前に考えるべきこと」、同6月29日の「長時間労働をなくすことに真剣であれ」である。また、ちょっと異なる視点だが、同9月12日の「子供が18歳になるまで短時間勤務認める会社」で、ちょっといい話を紹介した。

 それらで主張しているのは、もっと人間らしい暮らし、家庭生活を大事にしようということだ。もちろん、長労働時間をなくせば、すべてうまくおさまるというほど簡単なものではないだろう。しかし、少子化対策やワークシェアなどに深いつながりがあり、経済社会のありようを変える。

 おりしも春闘が始まったが、マクロ経済上も重要な賃上げの獲得とともに、労働時間の短縮にも全力を入れて取り組んでほしい。時間外の割増率を通常勤務日は完全に50%に、休日出勤は100%にすれば、経営にとっては、できるだけ時間外労働をしないように、という強い圧力になる。

 ただ、こうした割増率引き上げは、法定したほうが競争条件のイコールフッティングになるし、中小企業にも行き渡る。ナショナルセンターである連合などはもっとこの問題に重点を置くべきではないか。

 「日本の労働組合は(外国に比べると)最も経営側に対して発言してきた。経営側にはじかれて初めて立法をと言う」(毛塚勝利中央大学教授)。だが、大企業の労使関係がフレキシブルであるからといって、相対(あいたい)の個別交渉に任せていては、中小企業を含めた日本の労働者全体の長時間労働解消は実現しない。

 現実には、トラック運輸業界のように、顧客の要求にこたえるには絶対に8時間労働なんて遵守できないというところもあるようだ。そうした業界については、顧客が無理な要求をすることを禁止する法規制とか、CSR(企業の社会的責任)の面から無茶な要求をしないよう社会的な監視をするというようなことが必要かもしれない。日本型経営の強さそのものと長時間労働とは密接な関係があるとの見方もあろう。したがって、十分、議論をしていかねばならないだろうが。

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コメント

セブンイレブンのような状態に似た話で残業規制を行った会社に勤務していたことがありますが、現実は厳しく、無償残業が増加し給料は減るという何も言わない方が良かったという状況に陥りそうな話だと感じました。マクドナルドの判決を逆手に取った決定となる日が近いのかもしれません。
 
最近は派遣労働者への置換という経費削減策を会社は手に入れており、無償残業に応じなければ法令上の規定日数後に解雇すると通知をすることも考えられます。公的機関であっても窓口は派遣に置換されている時代です。労組も力を失っています。少なくとも頑張った人だけは報いがあるシステム作り(金銭的な儲けに限定しない貢献度によって評価するシステム)が大切なような気がします。

投稿: たぁ坊 | 2008年2月 9日 (土) 12時21分

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