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2008年3月16日 (日)

「環境生産性」の国別比較

 GDP100万ドル当たりのCO2排出量で世界の国々の「環境生産性」を比較すると、どの位の開きがあるか。佐貫利雄帝京大学名誉教授が算出したデータを見せてもらった。〔「環境生産性に関する一考察――世界27ヵ国の環境生産性ランキング」(『帝京経済学研究』第41巻第1号 別冊、08年3月31日に掲載)〕

 それによると、CO2排出量が多い5ヵ国、ヨーロッパ主要4ヵ国、アジア9ヵ国・地域、その他9ヵ国(中東を1ヵ国とみなす)を対象に、GDP100万ドル当たりのCO2排出量(2004年)で見た環境生産性を比べると、最も環境生産性が高いのは日本(71t)で、2位が原子力発電に傾斜しているフランス(77t)だった。3位は英国(100t)、4位イタリア(111t)、5位ドイツ(118t)。

 CO2排出量の多い国の環境生産性は、米国149t、中国764t、ロシア1321t、インド527t。中国の生産性は日本の11分の1、ロシアは日本の19分の1という低さである。米国にしても日本の2分の1にすぎない。

 そのほか、主な国の環境生産性は、韓国209t、インドネシア489t、カナダ187t、メキシコ179t、ブラジル134t、オーストラリア218tなどとなっている。

 佐貫氏はCO2排出量の上位5ヵ国(日本を含む)が環境生産性を日本の水準まで向上させたら、CO2排出量がどの位減るか試算している。それによると、5ヵ国合計でCO2排出量が40億54百万tから13億5百万tにまで下がるという。実に67.8%の減少だ。日本を除く上位4ヵ国が日本並みに環境生産性を上げることができたら、世界全体のCO2排出量72億35百万tが4割減の44億86百万tにまで低下するということになる。

 地球温暖化対策では、大量に排出する国が環境生産性を高めるのが非常に効果的であることがこの論文・試算から読み取れる。

 論文ではCO2を対象にしたが、温室効果ガスはCO2だけではない。また、途上国は温室効果ガス削減よりも、先進国並みに豊かになるのを優先しようとする。千葉県で行われていたG20(地球温暖化に関する主要20ヵ国閣僚級会合)で日本政府は産業別・分野別に削減可能量を積み上げるセクトラル・アプローチを主張したが、先進国間でのポスト2012の主導権争いは続く。

 そうした地球温暖化対策をめぐる国際交渉において、こうしたマクロ的な視点はきちんと押さえておく必要がある。さもないと、外交下手の日本は欧米にしてやられ、環境生産性が高いのに、低い国並みの温室効果ガス削減を迫られかねない。それでは、負担のあまりの重さに国民が泣きをみることになる。 

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 厳しい環境がいつの時代でも、大きな口を開けて待ち構えている。がむしゃらに抵抗し、怖じけず挑戦し、粘り強く克服し、継続は力で、生き続けていくのは並大抵のことではない。  これは人間の世界だけに当てはまることではない。地球上の生命体がすべて、ひたすら苦境に立ち向かって、あるものは勝者として生き残り、反対に押しつぶされて消え去ることもまれでない。  地球環境は温暖化が問題視されている。CO2の排出をいかに削減するか、先進国だけでなく発展途上の国も巻き込まざるを得ない。ありとあらゆる技術開発...... [続きを読む]

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