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2008年3月 7日 (金)

データが示す地方自治体の財政状況

 総務省が平成20年版「地方財政の状況」、いわゆる地方財政白書を3月4日に発表した。06年度(平成18年度)の全地方自治体の決算を集計したものだが、同省が発表した概要版の主見出しは「厳しい財政状況の中、大幅な歳出削減(7年連続の減少)」である。

 社会保障関係の歳出が増えているのに、職員給1.9%減、投資的経費6.5%減などの「大幅な削減」努力で、普通会計の歳出総額が89兆2106億円と前年度を1.6%下回った。一方、歳入総額は91兆5283億円で1.5%減だった。地方税、地方譲与税などが大きく伸び、結果として、地方交付税、国庫支出金などがかなり減った。税収に地方交付税などを加えた一般財源が歳入総額に占める割合は景気の回復で62.3%となり、前年度より3.0ポイント上昇した。税収増のおかげで、地方債発行による歳入(9兆6223億円)は、歳入総額の10.5%となり、前年度比0.7ポイント下がった。

 普通会計が負担すべき借入金残高(年度末、推計)は、200兆1561億円で、前年度に比べ1兆2606億円減った。内訳は、地方債残高139兆0593億円、交付税特別会計借入金残高(地方負担分)33兆6173億円、企業債現在高(普通会計負担分)27兆4795億円である。

 歳出総額は過去10年、徐々に減ってきた。それだけに都道府県、市町村とも歳出のカットに苦労してきたわけだが、一番減ったのは性質別構成比でみると普通建設事業費である。1996年度に30.2%を占めていたのが02年度には22.0%に、そして06年度は16.0%である。そのかわり、ほかの経費の構成比は増加か横ばいである。人件費も構成比は02年度27.8%から06年度28.2%へと微増だ。財政危機にもかかわらず、地方自治体の歳出カットの取り組みは不十分だ。放漫財政のツケを残した公務員にはそれなりに責任をとってもらいたいのに、自治体は公務員の退職金カットもしたがらない。

 地方自立政策研究所(穂坂邦夫理事長)が昨年11月末に発表した試算によれば、地方自治体の行政経費のうち、節減可能な額は14兆0953億円にのぼるという(昨年12月18日のブログ「地方自立政策研の検証結果」参照)。自治体がろくに努力してもいないのに、総務省が冒頭の見出しのように「大幅な歳出削減」なんて甘っちょろい評価をしているようでは困る。

 ところで、7日付け日本経済新聞朝刊に住民1人当たりの一般財源の47都道府県、782市データ(06年度決算)が一部紹介されている。それによると、都道府県では少ない順に、神奈川県が16.4万円で47位、埼玉県が17.2万円で46位、千葉県が17.4万円で45位。多い順だと、1位が東京都の47.4万円、2位島根県の44.2万円(1人当たり税収9.3万円)、3位鳥取県の41.5万円(同9.4万円)である。地方の県は1人当たり税収は少ないけれど、交付税を手厚く配分されるので、都市部よりもはるかに1人当たり一般財源が多いのである。

 同様な傾向が782市についてもみられる。1人当たり一般財源が多いのは、1位夕張で136.9万円(1人当たり税収は7.4万円)、2位歌志内で72.4万円(同5.0万円)、3位三笠63.4万円(同8.7万円)で、地方の小都市が上位にある。下位は大都市周辺の人口密度の高いベッドタウンが多いという。

 住民が分散して住むため、地方は行政コストがかかるというが、国が地方を過度に保護してきた実態がデータに示されている。そうした甘えが地方の自治体行政を肥大させてきたし、地方の県や市町村のほとんどはまだその甘えから脱していない。「格差」論は彼らにとって都合のいい言い訳になっている面があることは否定できない。甘やかしてきた総務省(旧自治省)はグルである。

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