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2008年3月 9日 (日)

「学びと仕事」についての議論から

 日本学術振興会の人文・社会科学振興プロジェクト研究事業シンポジウムという長ったらしいシンポを聞きに行った。「人生を楽しくデザインしよう! 個人が拓く社会のかたち」というタイトルに惹かれてだ。その第2セッション「学びと仕事」では興味深い発言があった。発言者は司会者を含めて6人とも大学の先生である。

 このセッションでは、日本経済が長期にわたって不振にあえいだため、経済界が成果主義を掲げ、大学教育に対して、問題解決型で、即戦力となる人材や、独創性、創造性のある人材を育成するよう求めたこと、その結果、どうだったのか、などについて話された。内容をきちんと聞き取れたか、自信がないが、その中から、いくつかを――

 ・グローバル化に対応して新しい人材を、というのが教育改革の前提だったが、企業が本当に困っていたのか疑問だ。問題解決能力というのは、体験させれば身に付くのか、それとも知識などを重視し、その転用で身に付くのか。失われた10年、日本は前者でやってきたが、あせって間違った対応をしたのではないか。

 ・企業人は高等教育について何も考えなかった。長期不況で企業は教育・研修コストを削減し、暗黙知を持つ人材を削減した。学卒採用にあたって、かつては大学で何も教えなくてもいい、と言っていたのが、突然、即、使える人が欲しいと言い出した。しかし、日本の企業の人は問題解決能力はあるが、問題発見ができない。

 ・日本の企業人は99%経験だけで仕事をしている。卒業する学生に対しては、つまらない社会人になるな、本を読んで学習するようにと話している。

 ・企業は即戦力になる人材が欲しいと言う。しかし、企業は新卒採用活動を早めているので、学生は説明会などに出るのに忙しくて3年の後期から講義に出てこられない。企業は言うこととやることとが矛盾している。

 ・就職活動で、女子学生は真っ黒な服を着ている。男子学生も9割がスーツを着用している。皆と同じでないとという意識からだろう。遊びも集まってするけれど、皆、勝手なことをしている。

 ・成果主義というのは、失敗を許さない。だから、一回の失敗で落ち込む。それではいけない。失敗者にやさしい、選択肢のある社会にすべきである。法科大学院では、5年間に3回司法試験を受けられるが、院生に頑張れと言うだけ。試験に失敗した人をどう生かすかが重要だ。いまのままだと、アングラの世界が彼らを待ち受けているから、そちらに行ってしまうことになりかねない。

 ・シリコンバレーを見なさい、失敗を許容しているではないか、と言いつつも、日本の企業が成果主義で失敗を許さないというのはどういうことか。

 ・いまは大学受験にせよ、就職試験にせよ、受ける回数が増えているが、落ちる率も高くなっている。だから失敗の数が多過ぎて、その経験をすぐ忘れてしまい、失敗の意義を引き出せない。すぐ投げてしまう。失敗の経験を熟成させることが必要なのに。

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