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2008年3月 6日 (木)

学術会議が脱タバコ社会のため増税などを要望

 日本学術会議が3月4日、要望「脱タバコ社会の実現に向けて」をまとめた。7つの提言が盛られており、「タバコ税を大幅に引き上げて税収を確保したまま、タバコ消費量の減少をはかる」、「喫煙率削減の数値目標を設定する」、「タバコ自販機の設置を禁止しタバコ箱の警告文を簡潔かつ目立つようにする」などを政府や業界に求めている。

 タバコが健康によくないことははっきりしている。中西準子ほか編の『演習 環境リスクを計算する』によると、日本の化学物質リスクランキングで、リスクの大きさ(損失余命)をみると、喫煙が断トツで一番だ。受動喫煙がそれに次ぐ。

 要望書によれば、日本では毎年11万人以上が喫煙が原因で死亡している。それらの医療費や、捨てられた吸い殻の清掃などの経済的損失はある試算だと約7.3兆円だし、別の試算では約4.9兆円に達する。タバコ税の税収は年間約2.3兆円(うち半分が地方タバコ税)だから、医療保険などに入っている国民全体が何兆円もの損失をかぶっていることになる。

 03年にタバコ規制に関する世界保健機関枠組み条約が採択され、日本は04年に批准した。この条約にはタバコ価格・税の引き上げがうたわれている。しかし、日本は06年にタバコ1本につき約1円の値上げをしたにすぎない。また、タバコの箱に「大きく、明瞭で、読みやすい健康警告」をするよう求められているのに、そうはなっていない。広告規制は業界の自主基準にゆだねられているままだ。また、日本はタバコ自販機の設置台数が56万台にも達し、世界で突出している。

 タバコ事業そのものが、もともと、大蔵省(現財務省)の下にあった日本専売公社が独占していたもので、同省は喫煙者が減って、税収に響くようなことには消極的だった。専売公社が日本たばこ産業(JT)になっても、同省のそうしたスタンスは変わらない。天下り先であるJTへの配慮がないとは言えまい。驚いたことに、いまだに、たばこ事業法は、たばこ産業の健全な発展とか、財政収入の安定的確保などをうたっていて、国民の健康を優先するものには全くなっていないのである。

 しかし、タバコ1箱にかかる税は約189円と欧米の半分ないし5分の1ぐらいと異常に低い。国民の健康を考えて、少なくとも税を3~5年かけて2倍ぐらいまで引き上げるべきではないか。もちろん、それによって、タバコ消費量が下がるにせよ、税収それ自体の落ち込みは、あるとしても甘受すべきだろう。医療保険などの負担軽減を考慮すれば、問題にならない。政治は学術会議の要望をまともに受け止めよ、と言いたい。

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