« 映画「クライマーズ・ハイ」を見て | トップページ | 兜町には街としての活気がない »

2008年4月 8日 (火)

OECDから見た日本経済の問題点

 4月7日、OECDが2008年版の対日経済審査報告書を発表した。アンヘル・グリア事務総長は「日本が改善をしなければ、日本経済は世界でのランクがどんどん下がる。困窮を招く。この報告書で、我々は、世界ではこうやっていると言うだけ。それが最良の慣行ですよと」と語った。

 日本経済がとるべき施策として指摘されていることは4つ。①デフレの完全な終息、②財政健全化の進展、③包括的な税制改革の実施、④サービス部門の生産性向上、である。

 財政改革については、公的債務残高が増加し続けており、「長期金利が上昇した場合の日本経済の脆弱性が強まっているため、財政再建の推進は緊急の課題」と指摘。「政府支出のさらなる削減を優先的に行うべきである」という。社会保障費の抑制は不可欠とし、そのために、年金受給資格年齢の引き上げ、年金資産の運用利回り向上や、医療の質向上と効率性引き上げのために民間部門の関与の度合いを高めることが重要だという。

 基礎的財政収支を黒字にするにはGDP比6%に相当する歳入増が必要であり、政府債務比率を引き下げるにはそれ以上の歳入の増加が求められる。それには包括的な税制改革を実施すべきだとする。

 日本の法人税率は世界で最も高い。しかし、法人税を納付している企業は3分の1にすぎない。租税特別措置が多いなどのせいである。個人所得税も給与所得控除が大きいなどのせいで、課税最低限が高すぎる。したがって、課税ベースを拡大すべきだという。そして増税が経済成長に及ぼす悪影響を最低限に抑えるため、間接税である消費税をOECD諸国中、最も低い5%からもっと高くすべきだと勧めている。一方で、現在40%の法人税率をOECD平均の29%近い水準まで下げれば、経済成長を後押しするという。

 長期的経済成長にとって重要な労働生産性の改善についても詳しく述べている。ひどく劣っているサービス部門の生産性を引き上げるには、規制改革、競争政策、門戸開放によって競争を促進するよう求めている。とともに、非正規労働者の増大で二極化している労働市場を改善すべきだと述べている。

 報告書の内容は、日本政府がやろうとしてきた路線におおむね沿った内容である。外野席から日本政府をサポートしているような気がしないでもない。もっとも、事務総長は「日本政府から要請されたということでは全然ない。私どもが最良と思ったことを書いた。事務局の草案を委員会で30の加盟国と議論して決めている」と述べている。

|

« 映画「クライマーズ・ハイ」を見て | トップページ | 兜町には街としての活気がない »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/184848/40815845

この記事へのトラックバック一覧です: OECDから見た日本経済の問題点:

« 映画「クライマーズ・ハイ」を見て | トップページ | 兜町には街としての活気がない »