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2008年4月25日 (金)

世界の風力発電設備は1億KWに

 2007年末現在の世界の風力発電設備容量は9368万KWに達する。07年の1年間に1929万KWも増えたという。増加率は実に26%である。これは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「海外レポート」1021号(4月23日)に紹介されている。ことし中に1億KWを突破するのは確実だ。

 太陽光発電などとともに、再生可能エネルギーの有力な供給源とされているのが風力発電である。同レポートによると、07年末現在、風力発電設備の容量は、EU5634万KW、米国1682万KW、インド800万KW、中国600万KWなどで、EUの中では、ドイツ2225万KWとスペイン1515万KWが突出して多い。EUの風力発電設備による発電量はいまや3%を占めるまでになっている。また、世界の風力発電により、約1億2200万tのCO2排出が防止できるという。

 風力発電は、太陽光発電やバイオエネルギーといった再生可能エネルギーに比べれば発電コストが安いが、ドイツやスペインなどで設置が急増したのは、発電の買い取り価格を高くしたりする優遇措置を講じてきたからである。

 しかし、風力発電は風の吹き方で発電量が大きく変動する。電力会社は、もともと電力需要の変動に対応する必要があるが、新たに風力発電の供給の変動にも対応する態勢をとらなければならない。こうした変動を調整するためには、予備的な発電設備が要る。ないしは、他の電力会社から電気を買わねばならない。ということで、同レポートでは、風力発電を増やすと、火力発電設備も必要になるから、CO2の排出削減には必ずしもつながらない、という指摘があることも紹介している。

 それに関連して、EUなどでは、景観を壊し、観光事業に脅威である、騒音公害があり、住民の健康に悪い影響がある、野鳥がぶつかる、系統連係に問題がある、その割に発電量は少ない、省エネに力を入れるほうが効果が高い、などといった風力発電への批判があるという。EUの風力発電ブームに水をかけることになるか注目したい。

 ところで、日本では06年に149万KWの風力発電設備があった。日本政府は2010年に300万KWにまで増やすという目標を設けている。しかし、それでも、ドイツなどに比べると、非常に少ない。国内には、もっと風力発電への投資に助成をすべきだとか、電力会社の引き取りの拡大や買い取り価格の引き上げをすべきだという声も一部に出ているが、国民の関心事にはなっていない。

 私見を述べれば、最近の石油価格高騰は相対的に風力発電の競争力を高めている。脱化石燃料は地球温暖化対策の面でも資源の有限性からも望ましい。そして、技術進歩により、いずれ大容量蓄電池などで風力発電の発電量変動という弱点を補うことができるだろう。とにかく風力発電は将来の重要なエネルギー供給源である。発電装置産業育成の観点も踏まえて、政府は風力発電に従来よりも積極的に取り組んでいいのではないかと思う。電力会社に対しても、同様である。長期的な視点を持ってほしい。 

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