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2008年4月23日 (水)

インサイダー取引と性善説と

 証券取引所などで取り引きされている株式を内部情報に基づいて売買するインサイダー取り引き。東京地検が野村證券の中国人社員ら3名を、その疑いで逮捕した。企業売買など投資銀行業務を行なう企業情報部に所属しているときに、インサイダー取り引きをやってもうけていたというのだから、野村證券の評判は地に落ちた。同社のダメージはものすごく大きい。

 同社では社内規定により、企業情報部に所属している間は株式売買を禁止している。また、法令順守などの誓約書を書かせているという。しかし、会社に大きな打撃を与えかねないインサイダー取り引きなどの不正行為を防ぐ態勢づくりに甘さがあったということだ。

 会社人間とか、会社第一主義とかが批判された時代には、愛社心とか、同期生といった仲間意識が強かった。上司が仕事のあと、飲みにつれていくこともよくあった。だから、お互いに、公私を知っていて、あいつはどんな奴だと大体わかっていた。だから、変なことをするとすぐばれるというチェック機能がかなり働いていた。1990年代の半ばごろまではそうだった。

 しかし、その後、状況は大きく変わった。いまは、パソコンを相手に仕事をすることが多い。飲みにいくことも少ない。それに皆、忙しすぎる。プライバシーに立ち入らないという傾向もある。それらの結果、同僚にせよ、部下、後輩にせよ、多面的な接触が乏しい。同じ職場にいても、どんな人間かをろくに知らないようなことも珍しくない。野村證券にいた中国人社員も同様だったろう。彼の場合、日本人社員以上に付き合いなどが少なかったのではないかと想像する。

 したがって、野村證券は、情報が命のビジネスだから、人間は悪いことをするという性悪説に立って、インサイダー取り引きなどの防止のため、非常に厳しいチェックシステムをつくるべきだった。それだけでは防ぎ切れないから、職場の仲間意識を涵養し、相互チェック機能を高めることも必要である。

 一方、メディアは、茨城県の国民健康保険団体連合会で会計課の主任だった男が、全部で約10億円使い込んだという事件を報じている。カネを扱う人が1人か実質1人の組織で、こうした使い込みが時々明らかになる。これも、人を信用して任せ切りにするから起きる。カネを扱う仕事は基本的に性悪説に立って、人事異動をなるべくひんぱんに行なう、1年に1度は普段のとき、無理矢理1週間以上、休暇をとらせ、ほかの人に代行させる、などを慣例とすべきだ。

 かつて、ある大企業では、親会社から派遣された経理部長がカネの責任者となり、取締役になっても、そして常務になっても、それを続けようとした。さすがに社長が「もう下の者に任せなさい」と命じたら、彼は行方不明になった。秘書が「ひょっとしたら」と調べたら、銀行に預けてあるはずの約20億円の債券がなかった。競馬などに使ってしまったのである。性善説に立って、万が一のリスクに備えないという組織は危うい。

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コメント

もっと信じられない話は沢山ある。
上場企業の監査役が自分で領収書を切れないからと、かつての部下であった部課長に名義借りをした接待費である。つまり、それを後日自らチェックをしていたのである。休日のゴルフの後の食事等をそれで落としていたから驚きである。しかも、その場には社長も同席し親会社の常務も同席していたというから驚きである。つまり、接待などではない。自分の会社の役員の親睦会の経費を会社の経費で落としていた上場企業があるのである。しかし、この実態は公認会計士では見抜けない制度上の欠陥があるとしか思えない。

投稿: たろう | 2008年4月24日 (木) 19時02分

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