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2008年4月 6日 (日)

映画「クライマーズ・ハイ」を見て

 1985年8月12日、羽田発大阪行きのJAL123便、ボーイング747SR機が群馬県の御巣鷹山(標高1639㍍)に墜落し、生存者4人を除いて520人が亡くなった。横山秀夫著「クライマーズ・ハイ」は、地元紙の記者としてこの世界最大の航空機事故を取材した体験をもとに書かれた作品だそうだが、この原作を読まずに、映画「クライマーズ・ハイ」を試写会で見た。

 事故発生のその日、私は新聞社にいて、夕刻、そろそろ帰ろうかと思ったときに、「日航機が行方不明」という第一報が入った。そのうち、長野県に墜落したという情報が入った。乗客の中に歌手の坂本九さんも入っているという。そして翌日、群馬県・御巣鷹山の現場からの報道が始まった。会社に出ると、一週間ほど前にやってきて話をした大阪本社の仲間が犠牲になったことがわかった。そうした記憶があるので、格別の思いで映画を鑑賞した。

 映画は、前橋市に本社を置くローカル紙が、地元で起きた未曾有の航空機事故について、どういう取材態勢をとり、どんな記事を執筆し、どういう紙面をつくったかを、事故報道の総責任者、および編集記者たちを中心に映像化している。映画はよくできていて145分飽かせなかったが、個人的に感じたのは、映画の中での、新聞づくりにたずさわる人たちの熱気である。活気を超えて、まさしく熱気である。

 いまの全国紙も、地方紙も、おそらく失っているのは、この熱気である。新聞という仕事を生かすも殺すも、そこで働く記者やそのほかの人々のやる気である。自由闊達な職場からしか、いい新聞は生まれない。いい情報を提供するというのとは違う。

 現在の新聞社は、購読者の減少、広告の減少などで、経営環境が厳しくなる一方である。IT化やグローバル化など、内外の情勢変化もあって、経営の論理、組織の論理が編集局の上から下までをもおおっている。昔は、変わり者、一匹狼のような個性的な人材がいたが、そうしたのりしろを許容しなくなっている。

 この映画でも経営や組織の論理がときどき顔を出すが、ひたすら、いい紙面をつくろうという熱気がほとばしる。私も第一線の記者だったころから、そうした気持ちを持っていたつもりである。それだけに、この映画に現れた熱気に感激した。

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コメント

はじめまして。原作を読んで、映画の公開を首を長くして待っています。
監督が<金融~>の原田さんなので、つい期待してしまいます。
試写会の感想を伺って、ますます楽しみになりました。

投稿: kobumama | 2008年4月21日 (月) 16時10分

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