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2008年4月30日 (水)

ジコチューになりすぎていないか

 元外務省欧亜局長の東郷和彦氏の話を4月28日に聞いた。ロシアとの間で北方4島の返還交渉を行なった当事者なので、とても勉強になった。同氏は外務省をやめてから数年、オランダなど外国に住んでいた。だから、日本を外から見ていて、よくわかったのは、「ロシアの国力が強くなった」こと、その半面で、「日本はいろいろな面で力が落ちている」ことだという。そして「日本人同士が国内での議論にエネルギーを注いでいて、国外で起きていることをわかろうとしていない」と痛感したそうだ。

 東郷氏が指摘したように、いまの日本は内向きになっていて、世界がどう動いているかにはあまり関心を持たなくなっている。

 政治の焦点の1つはガソリン税の暫定税率の期限切れと、その復活をめぐる動向である。道路特定財源としての暫定税率を10年間延長する法律を成立させるというのと、09年度に一般財源化するというのとでは、明らかに整合しないのに、自民・公明の与党はみなし否決と再可決とやらで、10年間延長を4月30日に立法化するという。予め政府・与党が決めた通りに予算関連の法案が通らないときは、たとえ理屈が通らなくても国会で通す、それを地方公共団体がカネ欲しさに強く要請するというとんでもないことが起きているのである。

 借金だらけの財政、少子高齢化による歳出ニーズの変化、地球温暖化対策の緊急性などを考えれば、道路をどんどんつくるためのひも付き課税を続けるという発想は出てこないはず。ものごとを広い視野でとらえるのではなく、自分たちの都合、利益だけで判断するというジコチューがまかり通っているとしか言いようがない。おとなしい国民はガソリンの値段が安いSSにクルマを連ねて、束の間の値下げの利益を享受しようというだけで、怒りが爆発することもない。

 後期高齢者医療制度がもう1つの焦点となっている。「後期」という用語に対する反発や怒り、年金からの天引きなどに対する不満などが取り上げられている。2年前にできた制度について、野党がいまごろ欠点?をあげつらうのもどうかと思うが、この問題も、本質を抜きにして騒いでいる。

 問題の本質は、高齢者医療がベラボーにカネがかかること、そして、その費用を誰が負担するか、ということである。現役の世代も、前期高齢者も、医療保険は自己負担が原則3割である。後期高齢者は1割にすぎない。しかも長期療養とか、終末医療には大変な医療費をつかう。後期高齢者の医療費の9割は税金と組合健保などからの拠出金(実態は無理矢理、出させる)で補うのだから、9割のカネの大半を出す現役世代に対して、高齢者は本来、感謝こそすれ、文句を言う筋合いはない。

 高齢者がはばをきかし、若者をはじめとする現役たちがしんどい思いをする社会は繁栄しない。高齢者は、戦後の日本をここまで持ってきたという自負はいいとして、だからオレたちをおんぶにだっこで面倒みろと要求するのは行き過ぎている。自分たちの家族を考えればすぐわかるように、次世代の人々を立て、年寄りは一歩も二歩も下がって感謝するという謙虚さが社会においても必要である。

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