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2008年5月13日 (火)

冨山和彦氏の鋭い指摘

 冨山和彦氏(経営共創基盤CEO)といえば、産業再生機構COOとして活躍した人である。新聞や雑誌でたまたま読んだ彼の発言は鋭い指摘が多い。

 5月12日付け日本経済新聞朝刊の「月曜経済観測」では、「人口減少時代の成長戦略」について語っている。国・地方自治体の膨大な借金の返済を考えると「若い世代は将来に希望を持ちにくい状況に追い込まれた」と言う。「より年齢層の高い既得権者によって、若い人たちがいかに意欲を喪失させられているか」、「中高年層から若年層へ、正規雇用者から非正規雇用者へ、既得権者から新規参入者へ、という方向で所得移転を推し進めるべきだが、なかなかそうなっていない」とも言う。

 人口減を克服し、経済成長を高めるには、「再配分政策を漫然と強めるのは禁じ手だ」。もしも、それをやったら、「高インフレや大失業に見舞われ、日本経済が“アルゼンチン”化するのは避けられない」。為政者は「将来世代の利害得失とグローバル経済の深化を常に念頭に置き、構造改革に取り組むべきだ」と言う。

 また、月刊誌『中央公論』6月号では、岩井克人東大教授との対談「株主主権論と日本的経営の二元論をいかに超えるか」で、「株式会社の最大の問題は、いかに経営者を選抜し、解任するかです」と語るとともに、「日本経済の活性化には、M&Aの人材再配置効果が最も大きいと思っているんです」と述べている。

 日本では年功序列や長期雇用制をとってきたため、社会的にみた人材の最適配分が行なわれにくい。「長期信用銀行など、大きな会社が潰れた後、元社員たちが多分野で活躍していますよね。それはつまり、優秀な人材が適切に配置されていなかったことを意味します」。

 これに対し、M&Aはコアの人材に辞めないで頑張ってもらうことができれば、「組織の形を保ったまま、人を流動化させる。日本人に向いた人材再配置の手段でしょう」と言う。

 そして、グリーンメーラーのような買収に対しては「企業価値の計算しかしたことがない人が急に経営に携わるなんて無理」だと批判している。「買収側にとっても、経営陣をきちんと提示するのは、ハードルが高いんですね」というのはその通りだと思う。

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