« 納税者番号の導入に向けての動き | トップページ | 公的年金基金運用体制のありかた »

2008年5月24日 (土)

QCサークル活動考

 1980年代前半がQCサークル活動の全盛期だったように思う。大企業の工場を見学すると、必ずいくつものQCサークルが、それぞれの活動の内容を大きな紙に書いて壁に貼っていた。企業の中での発表大会や日本科学技術連盟主催の全国大会は熱気にあふれていた。銀行などのサービス業でも、QCサークルが次々に誕生した。日本製品の品質の良さが欧米の脅威となった背景には、こうした事情があった。

 しかし、その熱気は1990年代に急速に失せた。それだけに、トヨタ自動車が勤務時間外のQCサークルの活動に、残業代を6月から全部払う方針を決めたという新聞記事を読んで、ほう、まだ結構、あちこちで続いているのだなと正直言って驚いた。

 QCサークルの活動は、現場での統計的手法を用いた品質管理の小集団活動である。しかし、末端の従業員によるQCサークルの活動が衰えたのは、会社にとって、経営全体の品質改善を求められるTQC(全社的品質管理)のほうが重要になったからだ。QCサークルはボトムアップの活動だが、TQC(いまはTQMという)は経営トップが下す全社的方針をブレークダウンして実践するという全く逆の活動なのである。

 また、日本の競争力を支える高品質に対抗すべく、米国は審査基準をみえる化した表彰制度を創設し、欧州はISO9000(1987年に誕生)を設けた。また、日本のTQCを、欧米はTQM(全社的品質マネジメント)という形でとらえた。世界的にトップダウンの経営が支配的になり、自動化で末端の従業員が工夫できる余地も少なくなったから、QCサークル活動の存在価値はかつてとは比べものにならないぐらいに下がっているように思う。

 しかし、末端の従業員が同僚と一緒に仕事の改善方法を考え、実行するのは、その内容もさることながら、仕事への意欲、職場におけるコミュニケーション、愛社心などの向上にプラスだ。自動化が進展し、労働密度も上がっている今日、従業員の働き甲斐を確保するのにも役立とう。そう考えれば、ものづくりの現場においてQCサークル活動が残っているのは会社にとって依然、大きな意味があるとも言えよう。

 ただ、それをかつてのように自主的な取り組みだとして労働時間にカウントしないのは、終身雇用的な発想から抜け切れていない会社側の驕りであった。 

|

« 納税者番号の導入に向けての動き | トップページ | 公的年金基金運用体制のありかた »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/184848/41303618

この記事へのトラックバック一覧です: QCサークル活動考:

« 納税者番号の導入に向けての動き | トップページ | 公的年金基金運用体制のありかた »