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2008年5月25日 (日)

地域の固定化された階層構造の改革

 冨山和彦氏(経営共創基盤代表取締役)の鋭い指摘を5月13日付けのブログに取り上げた。政府の「構造改革と日本経済」専門調査会第5回(4月25日)の議事要旨を読んでいたら、同氏のプレゼンテーションが載っている。関心のある方には議事要旨を読んでいただきたいが、産業再生機構として地方の企業再生に携わった同氏の地方の問題についての内容は傾聴に値する。

 いま地方が苦しくなっている状況は気の毒だが、「自己要因もはっきり言ってあると思った」という。地方というのは、「恐ろしく世襲の固定化された階級社会だ。均衡あるばらまきが均衡ある既得権階級を一つの社会階級として日本中につくり上げてきている」と指摘している。

 地方では、「上流階級というのは、ほぼ政治家も含めて世襲されているので、もうこれは固定化されているが、残念ながら平和で豊かでいい時代が続いたので、階級的には明らかに劣化している。逆に平民階級の優秀な人、要するに普通の平民の子どもに生まれた優秀な人は、みんな都会に流れていく」。したがって、家が貧乏で大学に行けなかった優秀な人が地方の企業に就職して番頭になるという「番頭モデルというのは、今、地方では成り立たない」。再生機構で扱った案件では、「ぴかっと光るような番頭がいたケースはほとんど皆無」だったという。

 「地域内格差、地域の中における固定化された階層構造をぶち壊さないと、優秀な人材は地方には絶対に行かない」、「大変ややこしいボス社会なので、あちこちに地雷が埋まっている」、「地域内の構造改革は絶対にやるべきだ」という。それと、地方分権によって、「地方の政府の仕事を面白くしないと、そこに多様性を持たせないと。面白くないところにいい人材が行かない」と語る。

 また、「国土の均衡ある発展というのはもう卒業して、国土の多様性とめり張りのある発展にモデル転換したほうがいい」と述べる。「地方の問題はお金の再配分より人の再配分だ。人のいないところにお金をばらまいても、砂漠に水をやるような話であって、むしろ既得権構造を再生産、再強化するだけ」、「どうやったら優秀な人が地方に行くのかということを軸に、私は政策を論じるべきだと思う」ともいう。

 格差には、反市場経済的要因から生み出される格差と、市場経済化がもたらす格差の二通りある。冨山氏は、前者には規制改革や公正競争行政の強化などの処方箋があるが、「恐らく政治的、社会的軋轢というコストを払わねばならない」という。一方、グローバルな競争に基づく相対コスト平準化の原理からくる賃金格差については、「これを仮に所得再配分で何とかしようということをやると、必ず成長力の低下と空洞化が起きる。そうすると、きっと日本経済は貧困化していく」と予言している。

 いまの日本が抱える深刻な問題点に対して、同氏の見解は重要なポイントを提起している。 

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