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2008年5月25日 (日)

公的年金基金運用体制のありかた

 経済財政諮問会議のグローバル化改革専門調査会(伊藤隆敏会長)が5月23日、「公的年金基金運用の改革に向けて」と題する第二次報告を公表した。副題は「世界の経済成長を生活の豊かさに」である。

 この報告書のうしろのほうに、市場運用をしている外国の公的年金基金がどんな資産に投資しているか、その構成割合を示すグラフ・表がある。その中からいくつか取り上げると、オランダの公務員総合年金基金は海外債券36%、海外株式35%、国内債券7%、国内株式1%、その他21%。フランスの社会保障基金は海外株式53%、債券26%、国内株式9%、その他12%。カナダの所得比例年金は海外株式33%、債券25%、国内株式24%、その他17%。ノルウェーの政府年金基金-グローバルは海外債券59%、海外株式41%。

 これらの年金の平均収益率は7%前後~10%台である。これに対し、日本はどうか。国民年金・厚生年金保険は平均収益率(直近5年)が3.5%と半分以下である。運用資産の構成は国内債券64%、国内株式17%、海外株式11%、海外債券8%である。ほかの国と違うのは、国内資産のウエートが大きいこと、株式の割合が低いことなどの点だ。成長率の高い国に投資するほうが大きなリターンを得られる可能性が強いのに、低成長、低金利の日本の有価証券を主体にしているのである。これでは150兆円もの巨額の運用資産を抱えている国民年金・厚生年金保険の加入者は浮かばれない。

 政府が財政投融資などの特別会計に年金積立金を注ぎ込む仕組みを長年、続けてきたため、年金を預かる厚生労働省は資金の運用なんてことは真面目に考えてこなかった。それどころか、自分たちの利権として、せっせと積立金を流用してきた。というわけで、リスクとリターンの関係をきちんと踏まえた最適の運用とはほど遠い状態にある。

 西欧の国々並みに運用成果が上がれば、年金の保険料率を引き下げるとか、年金給付額を増やすということが可能になるはずだ。今回の第二次報告は、そのための改革を提案している。すなわち、政府が中期計画で運用の基本的枠組みをガチガチにしばってしまう現在の硬直的な運用体制を改め、機動的な運用が可能になるようにすること、国際的に通用する人材を雇用できるようにすること、150兆円を分割してベビーファンドをつくり、それぞれ別々に運用可能にすること、などだ。

 日本では相変わらず預貯金が一番、安心だという人が多い。しかし、日本経済の成長率は低く、財政危機だし、少子高齢化が進む。日本国内での資金運用をめぐる環境はきびしくなる一方だ。それにインフレのおそれもなしとしない。したがって、年金を含め、資金の運用については、もっと世界に目を向けるほうがいい。経済オンチの厚生労働省に年金を任せておくのは危険きわまりない。

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