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2008年5月29日 (木)

丹羽・地方分権改革推進委員長の話から

 政府の地方分権改革推進委員会は第1次勧告の原案を作成したが、委員長を務めている丹羽宇一郎氏(伊藤忠商事取締役会長)は、地方分権を実現するのがいかに難しいかを5月27日の講演で披露した。以下、印象に残った部分を紹介する。

 地方分権で何がよくなるのかが住民に感じとりにくい。しかし、改革には国民の支持とトップのリーダーシップの2つが必要である。(トップというのは福田首相のことと理解した)

 分権改革に対し、官僚は必死に権益を守ろうとする。彼らは委員会の審議の場には、どんなことがあってもイエスと言わない覚悟でくる。昔の出征兵士のようなものだ。こうした官僚の反応は、いかに我々(委員会)が仕事をしているかの証左であり、私はそうした反応を喜んでいる。

 地方分権は必要ではなくて必然だ。それ以外になりようがない。大量生産は破綻し、多様なニーズと情報の時代になった。いままでの中央集権では、国は生存できない。このままだと、社会の反乱、住民の反乱が起きる。オバマの言う「チェンジ」を日本はまさに必要としている。痛みがあっても、将来に向かって一歩を踏み出すという情熱がないと無理だ。

 分権のめざすところは、正直者は損をしない社会にすることである。自立心を喪失させるような制度は改めねばならない。手を出せば、お金が出てくるような制度はいけない。その悪い例が農業だ。売れない→減産→コストアップ→売れない、という負のスパイラルは農業をつぶすためにやっているようなものだ。

 地方分権とは多様なニーズに応えるようにすること。ダイバーシティ(多様化)の時代である。行政も多様化せねばならない。

 分権改革は法律を何百本と変えないと動かない。しかも、法ができても、省令等や条例も合わせて変えないと何も変わらない。いままでの改革は法律を作りっぱなしで終わっていたが、今回の分権改革は、どのように実行されたかを監視する。そして、実行されなかったら、問いただしていく。さもないと、何も変わらず、骨抜きになる。

 農政の大失敗を認めろと言っても農水省は認めない。日本で反収が一番高い作物はコメである。これで自給率が上がらなかったのはなぜか。負のスパイラルを進めたからだが、日本のコメは本当に高いのか。中国ではいいコメが1kg100円ぐらいだが、日本では15haの水田で1kg200円ぐらいのコストである。中国に輸出すると100元で売れる。それに、農水省はコメの消費を増やす努力をしたか。伊藤忠商事ではカロリーを減らしたおいしいコメパンをもうじき売ることになるかもしれない。

 農地の土壌は一旦放棄したら、簡単に元には戻らない。土壌を保全し、農業に人材を投入して自給力を増やすべきだ。米国4割、英国7割など、先進国では、国土のかなりの部分が農地である。日本はわずか12.6%にすぎない。もっと自立心を持つべきである。 

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