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2008年5月20日 (火)

基礎年金を消費税で賄うと大幅な税率アップに

 政府の社会保障国民会議が5月19日に雇用・年金分科会を開催。基礎年金を全部、消費税でまかなうとした場合の税率アップの試算を提示した。2009年度から基礎年金保険料の徴収をやめて、消費税でそっくり調達するとしたら、2050年度までに必要な追加財源はいくらになり、消費税率の引き上げは何%になるかというもの。

 4通りの試算では、3.5%~12%までにアップ率が分かれる。現在の消費税率5%をもとに考えると、大変な上げ幅である。

 だが、現在の社会保険方式でも、約3分の1は税を投入しており、政府は09年度までに2分の1に引き上げる約束をしている。いわば、現行制度は保険方式と税方式の中間である。全額を税方式にすれば、保険料の未納問題や社会保険庁のような徴収のための機構・コストがほとんどなくなるというメリットがあることは確かだ。

 しかし、ことはそう単純ではない。第一に、年金だけを考えるのではなく、医療、介護などを含めた社会保障制度全体をどうするか、という観点を踏まえて議論することが必要である。医療にしても、介護にしても、やはり形のうえでは社会保険制度をとっている。それらの費用の増大をどうやってまかなうのかも年金同様、大きな問題である。最近は、医療を全額、税でみるべきだという主張も行われている。

 第二に問題になるのが、自助、共助、公助をどう考えるかである。何でも税金でやればよいという公助一本やりでは、努力とか、節約とかは不要となり、国民が皆、甘えてしまう。税にいくらでも頼ることになると、税率はどこまでも上がってしまう。そんな社会では活力もなくなる。

 人口が減っていき、若い世代に社会保障などで過度の負担がかかるようになれば、現役の人々のやる気を奪う。法人課税などで企業の負担が諸外国より重ければ、企業も日本から逃げ出す。その結果、国民経済のパイが小さくなり、社会保障制度も持続可能性を失う。その点、消費税は高齢者であろうと、消費すればかかる。社会保障の財源に消費税を充てるのは、現役世代への負荷を減らし、企業が活動しやすい環境づくりというねらいもある。

 しかし、消費税の増税となると、おそらく食品などの基礎的生活物資・サービスは税率を据え置くとか、低い税率にすべきだという批判勢力が出てくるに違いない。そして、いまの後期高齢者医療制度への批判のように、結局は若い世代に相当にしわ寄せする制度変更がなされる可能性が大きい。

 今回の試算はいまの政府が行なったものだが、これに対抗できる年金などの社会保障制度の改革案がシンクタンクなどから提示されることが望ましい。国民に適切な選択肢を提示して初めて、よりよい政策が導き出されるからである。そのためには、まず、政府が関係情報をすべて公開しなければならない。

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