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2008年6月 7日 (土)

若い世代を消耗品扱いしている

 中央官庁の官僚が深夜に帰宅するタクシーから金品を受け取っていたという。よくまあ次から次へと官僚の一部とはいえ、彼らの堕落を示す出来事が明るみに出ることか。民主党が現政権にとって代わるために頑張っているからだとも言えるが、今回のケースでも指摘されている問題点以外に私が感じるのは、いまの世の中は、現役、なかでも若い世代が重荷を負わされて、しんどいということだ。

 ちょうど、いま国家公務員一種の官庁訪問の真最中。霞が関バッシングなどで、ひところに比べ優秀な学生たちの中央官庁志望熱は下がったようだが、それでも、この国の将来を憂えて役人をめざす若者は少なくない。だが、省庁に採用されても、ムダにエネルギーを消耗するだけの仕事をさせられることがままある。その1つの現れが、この深夜帰宅である。

 国会開会中、役所は国会議員の質問を予め聞いて回り、大臣などが行う答弁の原稿を用意する。そのために、関係部門の役人が深夜までの、ないしは徹夜の作業をしている。関連する政府系の機関や業界団体、あるいは公益事業のトップ企業までもが、役所の要請で、質問に答えるために担当者を深夜まで待機させることがある。

 野党の議員の中には、前日の夜中にならないと、質問の内容を明かさない人もいるらしい。結果的に、官僚の深夜ないし徹夜作業を促しているとも言える。しかし、議会制民主主義政治というのは、与党と野党の政治家が議会で議論して決めていくものなのに、官僚が予め質問を聞いて、答弁までも作成するというのは、おかしい。与党政治家は官僚の振り付け通りに動く操り人形みたいなものとも言える。このように国の政治を実質的に動かしているのは官僚であり、したがって、それにあこがれて学生が官僚を志望しているという歪んだ構図も見えてくる。

 だが、若くて有能な人材のエネルギーを、そんな形で浪費するのはどうかと思う。国会も、霞が関の首脳たちも、官僚たちが家庭や個人生活を犠牲にして深夜まで長時間、働かなければならないような仕組みを改めるべきだろう。要は、政治家が官僚に依存せずに自立することが急務である。それには、政党が政策構築能力を備えるなど、まともな政治を行なうことができるだけの力を身に付けることだ。

 目を転じると、民間企業でも、深夜までの長時間労働はまだまだ当たり前。下のほうの管理職や若い世代の社員は毎日、仕事に追われて、定時からはるかに遅くまで職場にいるようだ。民間の場合、賃金などのコストが増えては困るとか、CSR(企業の社会的責任)などの点で、ある程度、ブレーキが効く面があるが、年功序列的な発想がまだ残っている企業が多いからである。

 3月決算を受けて、今月末に株主総会が開催される。だが、役員人事(案)をみていると、大企業では、まだまだCEO、社長などは60歳代が多い。70歳代で社外取締役に就く予定の人もいる。すぐれた人でも、年をとれば、身体的、知的の両面とも、目立たないにせよ、経営者としての能力が低下していく。それなのに、ほとんど若返りが進まない。若い世代が知的な能力をあまり使わず、肉体的にこき使われるのと裏表の関係である。これではグローバル化の中で世界に抜きん出る企業が生まれにくい。

 民主党など野党が高齢者いじめだとして後期高齢者医療制度をつぶそうとしているが、若い世代に負担を負わせれば負わせるほど、この国の未来は暗くなる。日本の企業も、世界の若い有能な人材を引き付ける魅力が乏しい。そうではないだろうか。

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» プレイングマネージャーとかいわれて [残業「0」はイヤずら]
175 名無しさん@明日があるさ New! 2008/04/26(土) 22:39:56 0プレイングマネージャーとかいわれて、部下もいないよ。仕事は管理職の仕事から担当の仕事まで全て自分ひとりでやっている。 大手電機メーカー勤務だけどね。 就職人気ランキングではなぜか上位にランクイン。 学生が実態を知ったらかわいそうに思う。... [続きを読む]

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