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2008年6月15日 (日)

討論「日本官僚論」から

 国家公務員制度改革基本法が6月6日に成立した。内閣人事局の設置、国家戦略スタッフの創設、キャリア制度の廃止、政官接触の記録の作成・公開などで霞が関の改革を目指している。これに対応して、政府は7月に国家公務員制度改革推進本部を内閣に設置するが、そのメンバーのうち、30人ぐらいは民間人を含めて公募で集める方針なので、霞が関の官僚が猛反対しているという。

 そうしたおり、13日に日本記者クラブが討論会「日本官僚論」を開催した。討論会の出席者は片山善博慶応大学教授(元自治省)、高橋洋一東洋大学教授(元財務省)、寺脇研京都造形芸術大学教授(元文部科学省)の3氏。発言をいくつか紹介する。

 片山氏=改革基本法により、改革が一歩踏み出したが、誰が改革を持続させていくのか。反対者が一杯だから、放っておけば、改革は進まない。究極は、最大の欠陥である年功序列をやめさせることができるかだ。いまは、年功序列ではみ出る人を収容する先を確保しなければならないから、やみでこそこそやるし、国会議員との関係もそこから発する。

 高橋氏=ハイリスク・ハイリターンの公務員もあっていい。安倍政権が一番やろうとしたのが公務員改革である。「日の丸公務員」が必要だ。それが今度、創設する国家戦略スタッフに現れている。給与法の改正は推進本部にやってもらう。

 寺脇氏=かつて明治のアタマで昭和の戦争をした。平成のいま、昭和のアタマでたたかっている。霞が関の人たちのマインドが変わらなかったツケが今回の改革基本法だ。

 高橋氏=天下りとは再就職のあっせんをすること。年俸の何倍といったおみやげがつく。はからずも、今回の法で、今年末から再就職のあっせんは禁止になる。

 高橋氏=いまは官僚内閣制。山県有朋以来、変わっていない。だから、普通の政治家でも官僚を使いこなせるように制度を変えようと思った。これまでだと、竹中平蔵氏のようなスーパーな政治家(当時)でも官僚の勝手な行動を抑えるのは難しい。

 片山氏=官僚が大臣の指示とは反対の行動をする。族議員のところに行って、うちの大臣がこんなことをしようとしているが、やめさせるべきだとたきつける。しかし、大臣が幹部をチームとして意に沿うような人だけにすれば、政官接触の問題はなくなる。

 高橋氏=局長が大臣の知らないうちに、勝手に政治家みたいに動くのはやめさせる必要がある。それはレポーティングだけでよいと思っていた。嘘を書いて、あとでばれれば処罰を受ける。

 片山氏=大臣がきちんと人事をやれば、今回の基本法も要らなかった。政治家の資質が最終的には問われる。官僚のミッションは、いまは自分たちの組織のためというもので、天下りを失うことを避けるほうを優先する。メタボ健診を導入したのも、受け皿財団をつくるという裏があるからだ。どこの官庁も同じで、究極は天下りを死守するため。ひどいものだ。マスコミはまだそれがわかっていない。総務省は霞が関では地方分権を言うが、本当に地方分権したら、地方への天下りができなくなるから、地方には自立してほしくない。だから、地方を半人前に扱う政策をとっている。

 寺脇氏=平成になってから官庁に就職した人が多くなった。国民に我慢してくれというのが役人。それが、自分は天下りというのは通らない。

 高橋氏=「わたり」のあっせんは明快に禁止になった。一旦天下ったら民間人であるから、民間人のあっせんは法律上、認められない。いま、霞が関はこれで大騒ぎになっている。私は、公益法人(2万5千ある)に行く役人は給与なしでいいと思う。

 高橋氏=法で内閣官房に内閣人事局をつくったのは、出身官庁の本籍を抜いて、内閣官房を本籍とすることができるようにするため。

 高橋氏=橋本行政改革で大蔵省を財務省と金融庁の2つに分けたのはよかった。主計局ではじかれた人が金融庁に来ないようになった。金融は専門性が強いから、天下りしなくても外でメシが食える。

 片山氏=総務省は自治省、総務庁、郵政省の3つが合併したのではなくて、水道管3本を束ねただけ。大臣はわけがわからず、役所の言う通りになっている。かつて自治省にあった「自治」が名実ともになくなり、国の立場からの発言になった。国土交通省はあまりにも巨大で、大臣は言いなりだ。いまも新規採用者を旧建設省系、旧運輸省系と別扱いしている。ただ、省庁再編は、法律を変えれば変わるということで、霞が関を揺さぶる効果はあった。

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