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2008年6月28日 (土)

「骨太方針2008」は骨太か?

 政府は6月27日に経済財政改革の基本方針2008(いわゆる骨太方針2008)を決定した。その4日前に開催された経済財政諮問会議(骨太方針の原案を審議)の要旨を読むと、骨太方針がどのように決定されているかがわかるやりとりが示されている。

 御手洗冨士夫議員(日本経団連会長)が「EUとのEPA(経済連携協定)は本当に喫緊の課題である」のに、骨太方針のEPA工程表には「将来の課題」とされていることに不満を表明。例えば、「できるだけ早く」というように、もう少し現実的な表現に変えてほしいと述べた。

 それに対し、大田弘子経済財政政策担当大臣は、それを次のように拒否した。「諮問会議で民間議員にご提案いただき、それを受けて私どもは最初の打出しはやって、各省や党と協議しながら、今、ここに落ち着いているというところはご理解いただきたい」と。

 大田大臣は、同じことをもっと率直に27日の記者会見で述べている。「まず、諮問会議で高目の球といいますか、あるべき姿が書かれて、そして、それが各省折衝で少し落ち着いて、また与党調整があるということですね」と。

 これでは、過去の政府や各省庁の審議会のやってきたこととさして変わらない。いまの経済財政諮問会議が小泉首相―竹中大臣の頃とは明らかに変質していることがわかる。

 小泉首相―竹中大臣のコンビのときは、2人のリーダーシップが明確で、諮問会議の準備を官僚任せにはしなかった。また、重要なテーマについては2人の事前の打ち合わせを行なっており、会議の要所で小泉首相の“裁断”が下された。所管官庁の意見を聞いたり、与党の了解をとりつけたりすることは必要であり、譲歩するところはするが、改革の基本は絶対に譲らないという構えがあった。

 それに対し、いまの福田首相は諮問会議に出席してはいるが、大田大臣との連係プレーはほとんどない。政局の難しさはあるにしても、経済財政改革についてリーダーシップを発揮しようという意気込みはあまり感じられない。大田大臣のほうも、よく「取りまとめ」という言葉を用いて、自分を進行係か司会役みたいに思っているらしい。骨太方針2008といっても、実際は政府・与党の結論待ちの部分が多いので“骨細方針”と言うべきかもしれない。

 八代尚宏議員(国際基督教大学教授)が23日の諮問会議で、次のように批判していた。従来は「原則としてどの省が、何を、いつまでに行なうという3つのポイントが示されていた。しかし、前回の諮問会議の素案から本日の原案の過程で、いろんな政策が盛り込まれているが、これらの中には「何々を推進する」というだけで、政策のPDCAが明確でないものが多く見られる。これでは国民にきちっと説明できる予算の基本方針には必ずしもならないのではないか」と。この懸念は決定された骨太方針2008にもそっくりあてはまると思う。

 もっとも、大田大臣は、諮問会議においては、いきなり落としどころで議論するのではなく、まず、しっかりした提案が行なわれ、それが議論され、素案、原案、最後の決定という過程が国民にはっきりわかるところがいいと言う。それは私も評価する。

 財政改革については、歳出・歳入一体改革の路線を引き継いでいるようにみえるが、2009年度予算案の編成にあたって政府・与党からの歳出増圧力をかわせるか怪しい。もっと国民に財政実態を説明し、フリーランチはないことをわかってもらうべきだろう。そこに、首相のリーダーシップのなさを感じてしまう。

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