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2008年6月21日 (土)

社会保障需要による波及効果

 6月19日に社会保障国民会議が中間報告をまとめ、発表したが、その参考資料を見ていたら、我が国経済において、社会保障分野の影響力が高まっていることを示すデータがあった。

 産業別に国内生産額(実質)を見ると、データは古いが、1990年から2000年の間に、全産業平均で11.1%増えたのに対し、社会保障分野は56.1%増えた。この間、社会保障分野を超える伸びを示したのは通信・放送(130%程度増)だけだった。

 ある産業の最終需要が原材料調達などを通じてさまざまな産業の生産を誘発する。さらにこれらの生産増が所得増を呼び、その所得増が消費を通じてさらに生産を誘発する。それらに基づく総波及効果を見ると、社会保障分野は全産業平均(4.0671)より少し高い。社会福祉が4.2889、医療(医療法人等)4.2635、介護(居宅)4.2332などである。ちなみに、輸送機械産業の総波及効果はもっと高く、4.7741である。

 また、雇用誘発係数を56の産業部門別に見ると、介護は1位で、0.24786、社会福祉が3位で0.18609、保健衛生が8位で0.12209、医療は15位で0.10572だという。社会保障分野は労働集約型のサービスであることを反映しているのだろう。ちなみに公共事業は22位である。

 そして、2002年から2007年までの産業別就業者数の動向を見ると、多くの産業で減っているのに対し、医療・福祉分野に従事する就業者数は474万人から579万人へと、105万人、22%増えた。情報通信業は24%増えたが、38万人増である。

 少子高齢化で社会保障を充実すれば、国内経済の発展につながるというインプリケーションがこれらのデータを通じてうかがえる。ただし、誰がどのように負担するのかの問題が残る。

 資料には、「社会保障給付費の推移」のデータがある。給付費総額は1990年に47.2兆円、2000年に78.1兆円、2008年(予算ベース)に95.7兆円と急速に増大している。しかし、国民所得額のほうは1990年に348.3兆円、2000年に371.6兆円、2008年(同)は384.4兆円と低い伸びにとどまっている。そして「OECD諸国の潜在的国民負担率及び高齢化率」のデータにおいて、「高齢化が最も進んでいる日本の潜在的国民負担率はOECD諸国の中でも低い」と説明している。

 興味を引かれたデータ「地域経済に占める公的年金給付」によれば、県民所得に占める年金総額の割合は1996年度→2005年度に相当、大きくなった。都道府県別に多いほうから、2005年度では、高知県15.2%、島根県15.0%、鳥取県14.4%、愛媛県14.3%、長崎県14.0%となっている。1996年度は高知県が9%台、島根県10%弱、鳥取県8%台、愛媛県8%台、長崎県9%台だった。

 県別に見た65歳以上人口割合の折れ線グラフと、同じく県別に見た県民所得に占める年金総額の折れ線グラフとは一見しただけで相関関係が強いことがわかる。「私の田舎は、若い人はおらず、年金暮らしの老人ばかりだ」と、東北の農村出身の知人が言っていたのを思い出した。

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