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2008年6月10日 (火)

人はつながりを求める

 秋葉原で起きた白昼の無差別テロは7人の命を、彼ら・彼女らの未来を奪った。理不尽きわまりない。

 今度の事件などから思うのは、いまの日本は物質的に豊かな社会であるが、それと対照的に、人間関係というか、人との触れ合いが少なくなっていることだ。秋葉原事件の犯人は、自動車工場に行って働いても、派遣である限り、自動車会社の社員と親しくなることはなかっただろう。それに、実家から離れて暮らし、付き合い下手で友達ができにくいタイプだとすると、何か趣味などで仲間ができない限り、いつまでも孤独だったろう。

 いまの社会では、家族の間でも、友人との付き合いでも、あるいは職場においても、心を開いて話し合える相手がいない孤独な人が多いように感ずる。そして、そうした孤独に耐えて、前向きに生きていく精神的にタフな人は少ない。きつい社会だ。

 これは、ある意味で、退職した高齢者についても言えることだろう。職場というコミュニティから離れてしまうと、自宅でどう時間を過ごすかという問題に直面する。趣味などで悠々と暮らしている人はそうはいない。いまや、どこの公立図書館も、ひまな老人の溜まり場になっている。彼らはお互いに話をしない。このように孤独な高齢者ばかりでは、日本の高齢社会は陰鬱なものになりかねない。

 秋葉原の事件を知って、まず思い浮かんだのは、5月30日のブログで紹介したビル・マッキベン著『ディープエコノミー』である。同書は、「経済学者は、人間は原則的に個人だと考え、地域の一員だとは考えない」、「いくつかの調査によれば、アメリカ人の四分の三が隣人を知らないと認めている」、「自分が他の人々にとって大切だと知ることは、いくら金を出しても買うことのできない一種の安心感である」などと述べ、地域社会、地域経済を活性化し、ご近所のつながりを深めることが幸せをもたらすと主張している。

 心の交流を幾重にも張りめぐらすような社会づくりこそが、成熟した日本経済の課題のような気がする。 

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