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2008年7月 4日 (金)

規制強化に逆戻りのタクシー

 国土交通省の交通政策審議会タクシー問題作業部会で、同省が台数の規制、安い運賃の規制などの方針を打ち出した。2002年に増車や新規参入の規制を緩和した結果、地域によっては供給過剰になり、タクシー運転手の労働条件が悪化したり、あるいは値下げ競争が行き過ぎたりしているので、元のように増車や新規参入を厳しく規制しようというものである。

 確かに、東京都内を見る限りでは、タクシーは多過ぎる。一方で、タクシー利用を控えるユーザーが増えていることもあって、稼動1台当たりの1日の売り上げは減る傾向にあるようだ。そのしわ寄せが運転手の収入や労働時間などにいっているのは事実だろう。

 しかし、タクシー会社は運転手の給与を歩合給中心にしているので、稼働率低下などの打撃はそれほどでもない。したがって、政府による競争抑制策は、運転手の労働条件を改善する面もあるが、それ以上に、会社の収益向上に大きく寄与するのではなかろうか。

 ここで考えるべきは、規制緩和はタクシー供給過剰を引き起こし、運転手の収入を下げたのだから、元通り、規制を強化すればいいということになるのか、である。顧客を引き付けるサービスを工夫するとか、料金を引き下げるとか、といった業者間競争にはさしたる意義はないのか。

 だが、こうした問題を追求していっても、すっきりした解にはたどりつけない。そこで、飛躍してしまうが、この問題を解決するには、タクシー運転手が会社を超えて1つの労働組合をつくることだと思う。タクシー運転手の労働時間、賃金といった労働条件をこの産業別労働組合が企業側と交渉して業界一律とする。人間らしい生活ができるには、どの位の収入が必要か、健康や暮らしを踏まえた労働時間、勤務体制はどうあるべきか、などを基本に、労働条件の向上、統一をはかるのである。

 行き過ぎた歩合制を是正するとか、夜間勤務の割増賃金率を50%以上にすることも必要だろう。そして、タクシー会社の増減車とか新規参入を自由にさせることだ。

 そうすれば、これまで、運転手にしわ寄せし、ろくに経営の工夫もしないできたタクシー会社の競争を促進し、業界再編も進むだろう。サービスや価格の競争がもっと行なわれることが期待できる。運転手をバッファーにした経営、官の規制による業者コントロールは要らなくなるのである。

 派遣労働など、非正規雇用の問題点が明らかになっているが、正規雇用の場でも、企業内労働組合の欠陥ゆえに、非常に厳しい労働条件が存続している。それを是正するのは本来、労働組合運動である。それが機能していないから、政府の規制強化という話になるのだ。 

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