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2008年7月27日 (日)

『資本主義 2.0 宗教と経済が融合する時代』

 『人々はなぜグローバル経済の本質を見誤るのか』の著者、水野和夫氏と、創価学会などにくわしい宗教学者、島田裕巳氏の対談を本にした『資本主義 2.0』(講談社、2008年5月)を読んだ。異分野の、しかもユニークな両氏の対談だから、おもしろそうと思ったから。

 企業が国家を超える、国家の存在を抜きにして経済が動く。資本主義の大前提である「国と資本の一体化」がグローバル化で崩れた。1995年以降のこの経済の新しいバージョンはまだ名前がないので、水野氏は「資本主義 2.0」と呼ぶ。そして、それ以前の資本主義(「資本主義 1.0」)と比べた変容をさまざまな面から指摘する。宗教との関わりもその重要な論点である。

 「資本主義 2.0」では資本を持つ者が常に有利であり、資本を持たない者、労働を提供するだけの人々は、努力しても生活水準が下がっていく。それは世界のどこでも起きてくるという。「私たちは、おそらく五百年に一度訪れる、大きな変革を前にしている」のだとして、人々のための経済に変えていくための解を出さねばならないと水野氏はあとがきで述べている。

 島田氏の話も含めてだが、論点があちこちに広がる分、教わることが多いが、終章「これからの五百年をリードする日本」の内容はいささか希望的観測に過ぎるのではないかと思えた。

 本書で、水野氏が財政について触れているところを紹介するとーー

 「巨額の財政赤字を減らせないというのは、現在の歳入・歳出構造が「資本主義 2.0」に対応していないからです。対応できていないゆえに財政が赤字なのであって、景気拡大で税収を増やして財政を均衡させようとする対応は、いまだに「資本主義 1.0」が続いているという考えの上に立ったものでしかないのです。                            だから、これまでにやったことがないような方法で早期に財政を均衡化して、教育やエネルギー開発に投資せねばなりません。経済が安定しているときは、財政が赤字でも時間が経てば取り返せますが、経済構造がドラスティックに変わるときには、国が借金を抱えていては、国として積極的に「資本主義 2.0」にかかわっていけないのです」(233-234p)

 日本は「高度成長の記憶がまだ根強く生きています。経済が発展しさえすれば豊かになれるのだという意識から脱却できない。時代は大きく変わり、事態が根本的に変化したのだということを認識しようとしていないように見えます」(236p) 

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