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2008年7月11日 (金)

企業内組合は労働組合なのか

 (1) 行政改革、構造改革になぜ日本の労働組合は強く反対しないのか。 (2) 日本では、なぜ労働組合政党が成長しないのか。 (3) 非正規雇用・ワーキングプア問題でなぜ大きな抵抗運動は起きないのか。 (4) 年休の“消化率”が問題になるのはなぜか。 (5) 健康障害を起こすような長時間労働がなぜ行なわれるのか。

 先日、労働法の研究者である田端博邦東京大学名誉教授から「労使関係の変容と多様性ーーその論理ーー」と題する話を聞いた。同氏は昨年11月に『グローバリゼーションと労働世界の変容ーー労使関係の国際比較』を出版しており、話は同書の内容に沿ったものだった。そのとき、同氏が日本をどう考えるか、ということで、上記のような論点を提示した。それらで挙げられていることは、ヨーロッパではありえない現象であるとのことだった。

 例えば、「年休をとるのは労働者の権利であり、日本の労働者がどうして、その権利を放棄するのか、理由がわからないとヨーロッパの研究者は言う」。健康を損ねるような長時間労働は米国でもないという。また、西欧では、社会民主勢力が政権をとらなかったところはない。そうした欧米の常識が日本の常識ではないのはなぜか、という同氏の問題意識は新鮮に感じられた。

 同氏によると、日本は①政府・企業主導型の産業国家(企業国家)であり、②企業内で完結する独特の労使関係構造になっている。それがヨーロッパのケインズ主義的福祉国家などとは異なる独自の経済社会を生んだという。

 しかし、韓国のように日本の制度を真似た国を除けば、企業内組合を労働組合として認めている国はないとのこと。ドイツでは、労組は超企業的でなければならない、言い換えれば、企業横断的であることは当然だという。労組というのは自発的に労働者が集まる組織であり、従業員全員を代表する社内組織は、基本的な労働条件を決定できない。こうしたヨーロッパの概念に従うと、日本にあるのは労働組合ではないのかもしれない、と田端氏は述べた。

 改めて、冒頭に書いた5つの問い掛けを読んでみると、日本の労組のありかたを根底から考え直す必要があることに思い至る。

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