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2008年7月 3日 (木)

“新前川レポート”を読んで

 経済財政諮問会議の「構造変化と日本経済」専門調査会が2日に発表した報告「グローバル経済に生きる―日本経済の「若返り」を―」(“新前川レポート”)を読んだ。その感想を以下に――。

 「わが国がめざす10年後の経済社会の姿を描き、そのために克服すべき課題を示すものである」と鳴り物入りで始まっている。だが、書かれた内容からみると、「10年後」ではなくて、「いま」めざすべき姿ではないか。10年先の世界はまたすっかり変わっているだろう。それだと、また「10年後」に、“新々前川レポート”が必要になる。日本の存在がかすんでいきつつあるという危機感には賛成だが、10年という悠長なことを言っていられないはずだ。せめて3年間ですべての改革をすべきだ、というぐらいにすべきである。

 報告書の末尾には、「本報告で示したわが国がめざす経済社会の姿を国民が共有し、個々別々の制度改革ではなく、生産・消費、労働、金融など経済社会全体についての包括的かつ同時的な改革が、速やかにかつ粘り強く実現されねばならない。政治の強いリーダーシップの下でそれが実現されることを期待する」と書かれている。これはまさにいま求められていることである。

 報告書は、世界の現状に日本が追い付くには何をすべきか、を指摘している。その内容は、言うなれば構造改革の徹底である。しかし、いま、日本では既得権が失われるのをおそれて、反構造改革の声が与党からもあがっているほどだ。グローバリゼーションの進展、人口減少・高齢化、資源・食料の高騰、財政危機などでこれからの日本が直面せざるをえない多くの難題に対して、思考停止というか、チャレンジをこわがっている状態と思える。

 「巨額な債務、急増する高齢者の社会保障給付、加えて、人口規模からみて中高年層の政策への影響力はますます強まっている。若者には無力感が強まっている」。指摘通りであり、まさに緊急の課題なのである。「10年後」などとピントはずれなことを言っていては話にならない。

 毎回の専門調査会の審議は要旨が公開されている。それを読むと、いま、世界のあちこちで、何が起きているのかを知る。小島順彦三菱商事社長の意見はもっとも刺激的だった。日本がいかに世界を見ないで、閉じこもっているかがわかる。報告書は、世界がいま何をしているのか、を具体的に紹介したほうが説得力があったのではないか。 

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