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2008年7月 6日 (日)

洞爺湖サミットを超えて

 7日からG8洞爺湖サミットが開かれる。中国、インド、ブラジルなど5ヵ国が参加する会議もあるなど、文字通り世界の主要国のリーダーが顔をあわせるのだから、今後の世界のありかたについて、彼らの責任は非常に重い。お互いに自国の権益ばかりを主張してろくな成果もなかったということでは、未来の世代に顔向けができないだろう。

 今年のサミットは例年以上に大きな課題を抱えている。京都議定書のあとの中長期の温室効果ガス削減目標を設定すること、石油などの天然資源、食料などの価格暴騰やサブプライムローン問題による経済社会のダメージを最小化すること、などだ。途上国の社会の安定や国民生活の向上なども意識されるべき課題である。

 一方で、出席する各国首脳の多くは、それぞれ自国の内政運営で苦しい立場に立たされている。自国の利益と世界人類の利益とを調和するという難しい課題にチャレンジする首脳が1人でも多いことを願う。

 福田首相は記念写真の真ん中に立つだろうが、このサミットが歴史を画したといわれるような新たな進展を切り拓いてくれるかどうか。これまでの報道を見る限り、期待薄だ。オリンピックではないが、“主催”することに意義があるのでは困る。

 話は変わるが、石油の値上がりはまだまだ続きそうだといわれている。その影響がさまざまな分野に広がっている。石炭、鉄鉱石などの鉱物資源の値上げや、穀物の値上げに続いて、それらを原燃料などとして使用する製品やサービスもコスト上昇で玉突き的に値上げを始めている。そして、値上げしたくても、それができない製品・サービスの分野では休廃業するところが相次いでいる。これらは国内でも海外でもほぼ共通している。海外では、大きな反政府デモが起きたりして、政治情勢が緊迫している国もある。

 20世紀は石油の時代だといわれ、工業、輸送、農業などや生活の隅々まで石油の恩恵に浴している。21世紀になっても、石油は経済や暮らしの根幹を担っている。石油文明という言葉があるが、私たちは安い石油価格を前提にした経済や生活にどっぷりつかって豊かさを追求し、それを当たり前に思ってきたのである。

 日本のガソリンを例にとると、いま小売価格は1リットル180円前後。500mlだと約90円。それも税金込みでだ。一方、500ml入りペットボトルの清涼飲料水はもっと高い。中東などの油井で採った原油をタンカーではるばる日本に運び、製油所で精製し、さらにタンクローリーでSSに輸送するガソリンのほうが清涼飲料水よりもはるかに安い。

 それでも、いまの急激な石油価格高騰は、従来の安い石油を前提としてきた現代文明の構造を私たちに「見える化」したとも言えよう。いま日本でも起きているクルマ利用手控えなどの動きは、長い目でみれば、おそらくは脱石油文明の一歩である。

 とはいえ、石油の生産コストは、実は平均的にはきわめて低い。大幅な石油の値上がりは、先進国などの輸入国から巨額の所得が移転することを意味しているが、産油国や産油会社を富ませる。そして、豊かになった産油国の多くは、資源・エネルギー多消費型の経済社会を築いている。石油価格暴騰の影響はきわめて大きいが、世界全体としては石油文明は21世紀もまだまだ続くようだ。無論、資源の乏しい途上国は苦難の道を歩むが。

 地球温暖化対策として、石油・石炭など化石燃料の大幅な消費抑制は絶対に必要だが、世界全体として具体的にどうやって減らすか、となると、さっぱり筋道が見えてこない。先進国だけが危機感を共有しても間に合わない。その意味で、洞爺湖サミットで福田首相ら各国の指導者に課せられた使命は重いものがある。 

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