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2008年7月 9日 (水)

ゴミから資源に変貌した使用済みペットボトル

 使用済みペットボトルの中国向け輸出がどんどん増えているという。市町村が住民から回収する使用済みペットボトルはいまや資源としての値打ちがあるので、財政難にあえぐ自治体の中には、容器包装リサイクル法に基づくリサイクルのルートには渡さず、民間のリサイクル関係の業者に直接売却するところが相当な数にのぼっているらしい。要するに、ゴミが資源に変貌したということだ。

 1995年に容器包装リサイクル法が成立したが、その頃とは様変わりであることを痛感する。ペットボトルはアルミ缶やスチール缶などと同様、資源として売れるようになった。そして、それはグローバルな石油の需給・価格動向を考慮すると、一時的な現象ではなくて、今後もずっと続く可能性が大きい。それならば、使用済みペットボトルを容器リサイクル法の再商品化義務対象からはずし、資源の取り引きとして他の有価物と同じように市場にまかせるほうが適切ではなかろうか。

 同法がつくられたのは、家庭ごみが増え続ける一方で、廃棄物の焼却施設や最終処分場の新増設が困難であること、不法投棄が増えて環境の悪化を招くなどの問題に直面していたからである。なかんずく、ペットボトルについては、まだ飲料水等の容器の一部で使われていただけだが、使用済みペットボトルは自治体の収集コストがやたらかかる、ポイ捨てで環境を破壊する、資源の浪費を招くなどの理由で、ペットボトルの使用それ自体の禁止ないし制限を求める声が自治体やゴミ関係のNPOには強かった。 

 したがって、同法の当初からペットボトルはガラスビン同様、分別収集・再資源化の対象とされた。しかし、リサイクルが義務付けられたあと、500mlより大きいものも小さいものも大手を振って使われるようになった。ペットボトルは軽いし、フタの開け閉めが容易といった利便性のため、当初にあった禁止とか制限をという声はいつのまにやら雲散霧消した。リユース(再使用)をという意見も出たが、衛生面から否定された。

 再資源化(再商品化という)の費用は、1997年度にトンあたり77100円と高かった。市町村が自身の費用負担で集めた使用済みペットボトルを、引き取り、再商品化する費用がこれだけかかったというわけだ。使用済みペットボトルから元のペットボトルをつくる技術も実用化された。ところが、2004年度(19万t)をピークに、リサイクル協会が間に立って引き取り、再商品化する量が減り出した。04年度に2315だった引き取り先市町村数は06年度に1082まで減った。引き取り実績も06年度14万tに落ちた。

 市町村が住民から収集したペットボトルをリサイクル協会に渡すとタダだけど、民間の業者に売れば、お金がもらえるというので、協会ルートの再商品化をやめるようになったというわけだ。さすがに協会も06年度からは逆有償ということで、入札で使用済みペットボトルを再商品化業者に売るようになった。売却金額は市町村に渡すことにしており、07年度はトン3万8000円(平均)で売った収入を個別市町村に払っている。

 しかし、家庭から出るペットボトルもあれば、事業者から出るペットボトルもある。それらの資源循環は、使用済みペットボトルやその他の有価の廃棄物を扱う資源回収業者に任せておけばいいのではないか。もともと民間の資源回収業者を追い払うような形で容器リサイクル法等ができたいきさつを踏まえ、必要のない法規制ははずしていくべきだろう。

 ところで、G8の首脳宣言にも触れられている3R(reduce 、reuse、 recycle)の推進という観点からすると、便利だからといって、ペットボトルを使用した飲料水等の消費が増えるのは好ましいことではない。リサイクルをすればいいというわけではない。リデュース(排出抑制)、すなわち、そうした消費自体を抑えることが望ましい。日本では、そうした努力が企業側にも、消費者側にも全くないのは遺憾だ。何十年も先の時点の温室効果ガス排出をいまよりどれだけ減らすかという目標設定とともに、いまの経済構造、暮らしの仕方を改めて、排出抑制しようというイニシアティブを政府・与党はとるべきろう。

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