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2008年8月30日 (土)

総合経済対策で安心が実現できるか

 夏休みということで妙高・赤倉の温泉にのんびりつかっているうちに、与党・政府は「安心実現のための緊急総合対策」をまとめた。緊急対策ということでか、既存の政策およびそれに張り付いた予算を見直すことなく、単純に上乗せするという内容。既存の政策・予算を削減し、それを新規の政策に充てるという「ペイ・アズ・ユー・ゴー」の財政規律は無視された。国債取り引き市場などがこの日本政府の政策をどう受け止めるか、注目したい。

 福田首相は「できるだけ赤字国債の発行は避けたい」という意向のようだ。しかし、建設国債ならいいじゃないかとか、埋蔵金の取り崩しなら構わないとかということになりそう。それらは、国のふところ全体という観点に立つと、所詮は債務の増加である。危機的な経済状況では、対策として財政支出増が認められるが、いまの状況はそこまで深刻ではない。ムダを削ることで、対策費用を捻出できるのではないか。公明党が定額減税をごり押しし、自民党がそれを受け入れたことも合わせ、自民党の弱体ぶりが目に付く。

 最近の日本経済の苦境は、石油などのエネルギー、鉄鉱石などの鉱物資源、そして小麦など食糧の世界的な高騰によるところが大きい。それらをほとんど海外からの輸入に頼ってきたのが日本である。原燃料など一次産品を輸入し、加工して付加価値をつけて輸出するという日本モデルで経済発展を遂げてきたが、そのモデルの弱点を突かれたようにみえる。それが今日の経済不振の主因だろう。米国のサブプライム問題に端を発する世界的な金融不安定も無視できないが、日本としては、新しい経済発展のモデルを模索し、転換することが緊急の課題ではないか。

 そういう目でみると、産業、企業の構造転換を促す政策が緊急総合対策の柱になってしかるべきだ。例えば、日本資本による国際的な資源、エネルギー開発事業への直接投資や、国内での省資源・省エネ、代替資源・代替エネの推進、農林水産省的な農業政策の抜本的転換などが重要である。

 それ以上に大事なのは、これからの日本をどういう国、社会にしていくか、の基本的な方針、ビジョンを明確にし、それに基づいて緊急総合対策を打ち出すということである。一例を挙げれば、グローバルな経済競争に日本および日本人が生き残るためには、かつて英国のブレア首相が就任した時に強調していた「政策は一に教育、二に教育、‥‥」を真似ることだ。といっても、文部科学省に任せるのではなく、日本人が国内外ですぐれた働き手、市民となる基礎を身に付けさせるものでなければならない。

 今回の総合対策では、相も変わらず、縦割りの各省庁が出す政策なるものを並べ立てているのにはうんざりする。既得権を無視して、望ましい政策を立てる能力が与党には欠如している(野党にもあるのか疑わしいが)からだ。国民のほうも、政府に甘え、あれもこれもやってもらいたいという依存症から、いい加減に脱しようではないか。 

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