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2008年8月11日 (月)

よくもここまで放っておいたものだ――滋賀県の造林公社の債務1千億円

 8月11日付け日本経済新聞は「造林公社債務で滋賀県ピンチ  一括返済へ迫る期限」という囲み記事を載せている。(社)滋賀県造林公社および(財)びわ湖造林公社の農林漁業金融公庫に対する利息支払いが昨年春以来、滞るようになり、同年10月に、全額(480億円余)繰り上げ償還請求の通知を受けた。そこで、県は債務返済計画を立てるとともに、県造林公社に資金を出した大阪府、兵庫県、大阪市など下流8団体にも債務圧縮などを求めて特定調停を申し立てた。しかし、こうした県の打ち出した対策が頓挫している実情を記事は報じている。

 確かに深刻な問題であり、県が窮地に立たされているという見方もありえよう。だが、関係者にとっては、問題ははるか以前にわかっていたことである。森林の果たす役割は重要であるが、それにしても、よくもここまで放っていたものだというのが私の感想である。

 造林公社は山の所有者に代わってスギ、ヒノキなどを植林し、将来、伐採したときに販売収入のある割合をいただく。しかし、伐採して初めて収入を得るというビジネスなので、農林漁業金融公庫から融資を受けたほか、県や下流の府県市などから資金を提供してもらった。無収入なのに、公庫や県に利息を支払わねばならないので、債務残高が膨らむ一方である。近年は県の出した資金(07年度末現在、県公社に83億円、びわ湖公社に343億円)を無利息にしている。

 しかも、スギやヒノキの市況は安い外材の輸入により、1990年ごろから一本調子で下がっている。実に4分の1前後にまでだ。県がこうしたピンチになってから試算したところによれば、県公社は負債総額365億円に対し、将来の収入見込みが約122億円にすぎない。びわ湖公社も負債702億円に対し、約281億円の収入しか見込めない。

 植林は1990年以前に終わっており、あとは保育管理をしているだけだから、経営の悪化は10年以上前にわかっていたことだ。第三セクターだから放ってあったのかもしれないが、県の幹部や県議会・議員、地元住民はどこまでこの問題を真面目に考え、取り組んだのかと思う。国の機関である公庫にしても、延滞が起きるまで何もしなかったのではなかろうか。そうだとすれば、無責任きわまる。

 公庫に対する債務に対して県は返済保証をしている。だが、嘉田県知事は県財政が厳しいので、公庫から一括返済を求められても支払う余力はないと言っている。本来は、放置していた関係者(県の職員、議員、住民)から相当のカネを召し上げるぐらいが当然ではないか。さもないと、財政ゆるふんの地方自治体の甘えがいつまでも続く。

 夕張市もそうだが、破綻すれば、当事者だけでは始末できないから、結局、国の支援などが行われる。つまり、ほかの地域へのつけ回しである。今回も、同じようなことが起きる可能性がある。これでは国・地方を合わせた財政健全化はなかなか進まない。

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