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2008年8月14日 (木)

元をたどれば官僚支配

 近代経済学者で著名な小宮隆太郎元東京大学教授が14日付けの日本経済新聞「経済教室」欄で、次のような指摘をしている。

 10年前に書いた同欄の「やさしい経済学」の中で、同氏は①速すぎる人口減少のスピード、②過大な政府の規模、③GDPに対する公債残高の急上昇、の3つが日本経済の中長期的な重要課題であると述べた。②については、社会保障に関する政府の役割は増大せざるをえないと考えたが、公共投資や第三セクターや天下りなどに象徴される税食い虫の「官産複合体」をスリム化することが重要だという意味だとしている。

 同氏は14日の「経済教室」で、「十年前、私はこれら三つの課題の改善・解決に悲観的でなかったが、今や認識を変えざるを得ず、日本の現状には「亡国の兆し」が表れ始めたと思うようになりつつある」と言っている。そして日本の政治が根本問題に取り組まない点を指摘し、「サッチャーやブレアのような名宰相が日本にも現れて、日本の経済社会を蘇生させてくれないだろうか。」と締め括っている。

 私も、問題が日本の政治にあると思っている。自民党・公明党の連立政権は来たるべき衆院選挙で劣勢が予想されるため、おりからの景気後退に勢いを得て、即、財政のばらまきへと突き進もうとしている。与党の政治家には、権力を握り続けるためには、将来の日本がどうなろうとかまわないという、やけのやんぱち的な空気が出始めているのだろうか。しかし、長年続いた保守政治を支え、好きなように誘導してきた官僚支配を突き崩さないと、小宮氏の挙げた3つの重要課題は改善・解決しないことを見逃してはならない。

 出生率の急速な減少を止めるには、出産、育児を喜びと感じることができる仕組みづくりが必要だが、それは縦割り行政では絶対にできない。2002年2月から昨年秋ごろまでの景気上昇局面においても、国・地方の長期債務残高は減らなかったし、基礎的財政収支が赤字から脱することはなかった。地方分権改革、規制改革、行政改革などの構造改革は各分野に根を張っている既得権益を突き崩し、グローバルな競争に日本が勝ち残るためのものだが、それを達成するための政治のリーダーシップと官僚の下支えがどちらも欠けていた。

 政治家が荒削りなビジョンを打ち出し、官僚がそれを肉付けするというのではなくて、現実は、官僚が自分の役所の範囲で都合のいいビジョン・政策をつくり、その実現のために大臣などの政治家を利用するようになっている。政治家も票になるならと安易に動く。政治家は官僚の掌の上で踊っているのだ。これを亡国を言わずして何と言うべきか。 

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