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2008年9月17日 (水)

不穏な世界経済

 米国の大手証券会社、リーマン・ブラザーズの破綻、バンク・オブ・アメリカによる大手証券会社、メリルリンチの買収、そして最大の保険会社、AIGへの政府による救済融資。サブプライムローンに端を発した金融危機は米国経済を震撼させ、その波及で、他の先進国経済にも影響が出ている。

 同じ頃、米国最大の自動車メーカー、GMが100周年をひっそりと祝った。トヨタ自動車に世界一の座を奪われたGMは、コスト面での劣位に加え、エコカーなど環境対策車の開発・生産において立ち遅れたため、経営は苦しい状況にある。製造業においても、金融・保険・証券といったマネー関連の産業においても、米国経済の凋落が浮き彫りになったのは初めてである。バブル化した米国の住宅価格が正常レベルに下がるまでにはまだ時間がかかるようだが、その過程で、金融・証券などの分野で新たな破綻が起き得るし、米国経済の縮小は国民生活に大きな打撃を与えるだろう。それがドル危機につながるおそれさえある。

 中国は北京オリンピックが終わり、パラリンピックもいよいよ終わりだ。胡錦濤政権は高揚感から醒めて、いよいよ政治・経済・社会の国内諸問題に取り組む時になった。一説によると、党の幹部や政府の高官には禁足令が出ていて、よほどのことでないと、海外には出かけないという。日本がかつて東京オリンピックのあとにかなりの不況(昭和40年不況)になったのと同じように、中国もそうなるのではないか、という観測が日本の有識者から聞こえてくる。米国経済に相当、依存している中国経済がこれまで通り、破竹の勢いで拡大することは難しくなったように思う。「唯一の道を歩む」一党独裁の政治体制のありかたが問われるところだ。

 欧州は石油などの資源高騰で経済成長率が低下し、日本と同様に、経済が停滞している国が増えた。そして、ロシアとの間で、グルジアをめぐって一時、安全保障面で緊張が高まったりもした。サブプライム問題の影響で経営が悪化した金融関係企業もある。

 日本は総理大臣がイチ抜けたで、後任の自民党総裁選挙が近く行なわれる。輸入した汚染米が工業用という名目で民間業者に売られ、あと、食用に転売された事件で、メディアは大賑わいだ。サブプライム問題で日本が受ける被害は少ないらしいが、米国経済の縮小による打撃は相当の規模に達しよう。戦後、ずっと続いてきた米国一辺倒の経済運営をどう改めるか、真剣な見直しをする必要があろう。政治家も政府も何もしていないのは怠慢だ。

 ところで、汚染米については、安全基準を何倍も上回っているが、加工したものを食べても大丈夫だという。しかし、加工製品の企業は大々的に回収している。回収したあと、どうするのだろうか。食べても大丈夫というお墨付きがあるものなのに、捨てるのはもったいないなあ‥‥という気がしないでもない。食料の自給率がわずか4割(カロリーベース)、しかも、食べ残しなどの食品廃棄物の量は輸入食品の総量に匹敵するという。捨てることに心の痛みを感じない背景には、そんなこともあるのだろうか。もちろん、信用を重視して回収していることはよく理解できるのだが。

 汚染米事件で感じたことだが、仲介業者が非常に多い。転売はマネーロンダリングのように、汚染された輸入米をまともな国産米に化けさせるためでもあるが、転売のたびに国産米の市場価格に徐々に近づくようにしたからではないかと想像する。一挙に仕入れの何十倍という値段で売って大もうけする本当のワルはいなかったという解釈もできる。

 それはそれとして、伝票操作でピンハネするような業態はどこの分野にもある。存在価値の疑わしい職業がはびこっているといったら言い過ぎか。皆の目に触れる機会が多い製品・サービスの例を挙げると、テレビ番組の制作や映画の制作、あるいは建築・土木工事の下請けなどは、下請け―孫下請けというように、何重にもピンハネする構造にもなっている。そうしたピンハネをする側は大体は社員の給料が高い。ピンハネされる側は手抜きをしたりして帳尻を合わすが、社員などの賃金は安く抑えられる。そうしたところに日本経済の歪んだ構造が透けて見える。

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