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2008年9月25日 (木)

経済財政諮問会議に対する伊藤隆敏氏の感想

 福田内閣最後の経済諮問会議が去る9月17日に開催された。その議事録によれば、有識者議員として2年間、参加してきた伊藤隆敏東京大学教授は「生かすも殺すも基本的には総理の決意と実行力にかかっている」、議長役の総理大臣がこの会議を利用しようと決意すれば、諮問会議が「様々な圧力に抗する盾のような役割を果たせる」と存在意義を説明している。

 そして、「各省それぞれが打ち出す選択肢よりは、より国益全体を考えた選択肢を提示する、あるいはその実行がきちんとされているか、工程表どおりに実行されているかを適宜モニターすることについては、諮問会議が得意とするところ」と語っている。

 伊藤氏は霞が関の問題点にもついても感想を述べた。「霞が関が世界一のシンクタンクであることはよく言われる。各省の官僚は、調査能力・分析能力には非常に優れたものがある」。「ただし、その優秀さゆえに、これはいつもではないが、時として、国益ではなく省益を優先させる議論を組み立ててしまうことがあり、一旦、組み立ててしまって、こういうことはできませんという議論を展開し始め、官邸や国会議員を説得して回ると、これをひっくり返すのは非常に容易ではない。したがって、その省の利益が必ずしも国の利益にならないことが生じることはしばしばあるわけで、そういった過去の政策の誤りをなかなか認めないことも官僚組織の世界的なパターンである」。

 さらに、「官僚の世界では、各省の管轄に横断的にまたがる政策課題をパッケージとして解くことは非常に不得意とするところだから、このようなときに官邸が力を発揮すべきであり、そのために諮問会議を使っていくことは非常に有効なことではないか。勿論、実際の政策を立法化することが必要であれば、これは国会であり、国会議員が政策を理解してサポートしてくれることが必要だが、政策はあくまでも政府が立案して実行していくことが重要である」と指摘している。

 もう1つ、伊藤氏はタイム・インコンシステンシー(時間の不整合性)という経済政策の理論を取り上げて、「将来のどの時点から政策立案をやり直したとしても、やはり同じ経路の上に乗っているという政策を立てなければいけない」と述べた。すなわち、今年は景気対策をしたい、来年からは絶対財政秩序は守る、というようなことを毎年、繰り返したら、いつまで経っても財政はよくならないというわけだ。伊藤氏は「財政に関してもルールをきちんと決め、そのルールはどの時点から始めても守ることができるといったようなルールを、是非つくり上げ、抜本改革に結び付けていただきたい」と発言している。

 おそらく、これは麻生内閣の誕生を予想しての発言だったろう。麻生首相は、最近、前提条件が変わったと言って、プライマリーバランスの2011年度黒字化という政府の目標を取り下げる発言をしている。財政改革の前途は危うい。

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