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2008年10月 6日 (月)

危機で表面化した諸制度の欠陥

 米国発の金融危機は西欧でも火の手が上がり出した。ドイツやデンマークなどは銀行預金の全額を保護することに踏み切った。預金の一定額までしか保障しないことになっている預金保険の約束を政府が変更し、上限を超えた分についても全額、保障することになった。

 危機においては、取り付けが起きないようにするためには、限度額を超えて預金している分も返済を保障する必要がある。それが危機に直面したいま、当たり前だとわかる。だが、先進国が平時につくった預金保険制度は、非常事態が起きたときに備えてのもので、一定限度を超えた分の預金は返済を保障しないということにしていた。それがいかに非現実的な想定であったかということだ。日本でも預金保険制度をこの際、根本から見直す必要がある。

 メラミン入り牛乳およびその加工品を原材料とする食品が世界のあちこちで売られていたのと同じように、サブプライムローンの証券化などに内在するリスクが米国以外にも広くばらまかれた。これらは、そうした危機のおおもとをチェックする仕組みが甘かったか、欠けていたということである。従来、主に各国の政府がそうしたチェック機能を果たすことを期待されていたのだが、グローバルな競争激化や技術革新などを背景にした製品・サービスの多様化、複雑化、高度化に彼らの態勢がついていっていなかった。

 米国の金融・証券などの諸制度やFRB、SECなどの政府機関はいささかオーバーに表現すれば、日本が学び、追随すべき模範として崇め奉られてきた。しかし、これらの政府の職員はサブプライム問題に始まる金融危機を引き起こすメカニズムをきちんと理解し、行き過ぎをチェックするようなことはできなかったようだ。また、保険会社は州で監督することになっているが、AIGの資産運用がはらむ危険については州の担当者は無知だったらしい。

 公的機関が経済活動の最先端についていけなかっただけではない。民間の格付け機関も証券化商品などの安全性などについて細かいところまでつかんで評価していたかきわめて疑わしい。発行体にカネをもらって格付けするという利益相反の面もあるが、複雑、高度な仕組みの金融商品を外から見て適切に評価可能かというと、疑問がある。それは会計監査についても言えることだ。

 あらゆる分野で専門化が進み、複雑かつ高度な製品・サービスが市場に送り出される。それに対して、チェックする役割の公的機関が対応していないところに、大きな問題がある。お役所的な仕事のやりかたの欠陥がそこに現れている。では民間にチェックをゆだねればいいかというと、それも信頼して安心するところまで行っていない。難しい時代だ。

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