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2008年10月19日 (日)

政府による電力値上げの抑制

 電力10社は来年1-3月に予定していた電気料金値上げについて、政府の要請にしたがい、家庭や小規模事業者向けの引き上げ幅を圧縮することにした。経済産業大臣からの書面による値上げ幅縮小要請にしぶしぶ応じるものだが、無理矢理、値上げ幅を圧縮させる政府のやりかたなどには疑問がある。

 近年、電力会社は電気料金の決め方を、料金単価に燃料費調整単価を加えたものとし、原油などの価格変動を自動的に反映するようにしている。ことしの9月分から料金単価を引き上げたが、同月は燃料費調整単価をゼロにし、実質的に電気料金を据え置いた。さらに、「お客様への影響を最大限に考慮し、10-12月分は調整しない」ことにしている。すなわち、値上げしないことを決めている。そして、来年1月以降に新しい算定基準による燃料費調整単価を決めることにしていた矢先、政府から料金引き上げを抑えるよう求められたわけだ。

 公益事業とされ、電気事業法の下にあるとはいえ、電力会社は純粋の民間企業である。経営者は顧客に配慮するとともに、株主の利益も考慮する必要がある。電力会社の経営者が顧客である住民の利益をおろそかにしているなら別だが、すでに自主的に10-12月分の料金を据え置くことにしているのを踏まえると、経営への介入は度を越しているのではないか。

 政府の定額減税もそうだが、値上げを抑えつけるような強引なことは所詮一時的な措置である。景気対策としての効果は乏しい。

 他方、地球温暖化対策で、CO2の発生抑制が焦眉の課題となっている。電力は鉄鋼と並んで、CO2の発生が多い産業なので、化石燃料に相当依存している電力の消費抑制のためには、値上げは有効な対策である。標準的な家庭で月に800円程度(18%弱)の値上げになる可能性が高いというのをどう見るかだが、電気の無駄づかいを減らせば、あるいはほかの出費をちょっぴり減らせばすむ話だろう。もちろん、電力会社の経営の合理化努力も必要である。

 日本では、政府が民間企業に何かと口出しする傾向がある。規制緩和の流れで、近年は政府の介入が減ってきたが、最近は、タクシー業界などに行政指導を強めるなど、再び、政府の介入が増える気配だ。金融危機に対応して規制のありかたを見直す必要があるが、こうした流れに悪乗りして、政府が行き過ぎた規制強化を行なわないよう、民間サイドとしても政府を監視し、是々非々でのぞまねばならない。 

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