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2008年10月15日 (水)

グローバル化のもとでは皆、群盲でしかない

 1980年代後半のバブルの時、新聞社の同僚は、土地や株式などの値上がりが過去の経験とまったく違ってすごかったから、地価、株価が行き過ぎだと思っていた人が多かった。だが、オフィス需要などから見て、地価上昇は当然などと言う人もいた。その中で、マクロ経済指標に照らして、資産価格の上昇は明らかに異常だと指摘する同僚もいた。それでも、バブルが崩壊したあとに何が起こるかについては誰も想像していなかった。

 当時、世間では、高地価、高株価を喜ぶ声が満ちあふれていた。高地価、高株価でもうかりこそすれ、不満を唱える人は少なかった。バブルというのは多くの人々にとって心地よいものである。当時、Qレシオなるものが唱えられ、株式会社の解散価値まで株価が上がるのは当然のことのように言われたことを思い出す。個人投資家を船に乗せて東京湾内の工業地帯を見て回り、会社の1株あたり解散価値からみて株価がまだ安いなどと言って買いを推奨していた証券会社もあった。

 米国のサブプライムローンに端を発したいまの金融危機のメカニズムを知ると、米国の経済学者、エコノミストや、FRB、SECなど政府機関のしかるべきポストの人たちは、どうしてバブルになっていることに気付かなかったのか。気付いた人がいたとして、どうして警告の大声をあげなかったのか。そして、どうしてバブルを早期にしぼませる手を打たなかったのか。そんな疑問を抱く。

 プリンストン大学のポール・クルーグマン教授が今年のノーベル経済学賞を受賞することが発表された。その彼が「自分が生きている間に世界恐慌に似たような事態に直面するとは思っていなかった」(日本経済新聞14日夕刊)と語っている。市場経済の限界に警告を発していたクルーグマン教授にしても、バブル崩壊後に何が起きるか、必ずしもわかっていなかったように思える。言ってみれば、いまのグローバル化した世界では、こうした危機を未然に防ぐのは人智の限界を越えているのである。

 野放図なグローバル化は、大量のマネーが瞬時に動くことを可能にし、1997年のアジア危機のようなことを引き起こす。そうしたグローバル化の及ぼす影響をすべてにわたって適確につかむのは、政府機関であれ、企業であれ、不可能である。それならば、マネーが国境を越えるときに税金をかけるとか、いろいろなところに関所を設けて、危機の発生をできるだけ抑えたり、危機の影響を小規模なものにとどめるといった分散管理が望ましい。そんなふうに思える。

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コメント

■東証急騰、終値1171円高 過去最高の上昇率―今はビジネスチャンスが溢れている?!
こんにちは。ノーベル経済学賞を受賞したクルーグマン氏がかつて「グローバル経済を操る愚かな人々」という著書の中で「ローカル化する先進国の経済」について語っていました。まさしく実体経済はそうだと思います。昨日は、東証も過去最高の上昇率を記録しました。しかし、私はあまり近視眼的な株価の上昇、下落には関心がありません。株価は、しょせんディラーの直近の心理状態を現すだけのものだと思っています。当面この金融危機に関しては、信用不安だけ解消されれば十分だと思っています。それよりも、この金融危機の本当の意味を捉えることが重要だと思います。先進諸国ではすでに20世紀の後半部の時点で、それまでとは全く違う「異質な社会」に突入しています。この異質な社会に対応する新しいインフラ作り、システム(制度、IT含む)開発が必要不可欠ですが、今までは不十分でした。そのため、先進国ではいたるところに、ビジネスチャンスが溢れていると思います。このチャンスをいかすことにより、各所でイノベーションがおこれば、先進国の社会は飛躍的に良くなり、ひいては実体経済も大躍進すると思います。それにしても、この理屈、口で言うのは簡単ですが、楽ではありませんね。特に「経済・金融」で頭が凝り固まっている人々(クルーグマンのいう愚かな人々)には語っても何も理解できないと思います。詳細は是非私のブログをご覧になってください。

投稿: yutakarlson | 2008年10月15日 (水) 14時06分

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