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2008年10月18日 (土)

もっと円高が進むのを期待する鉄鋼経営者

 17日付け日本経済新聞朝刊に鉄鋼メーカー、JFEホールディングスの数土文夫社長のインタビュー記事が載っていた。株価下落や円高に関する数土社長の発言はとてもユニークである。

 「1929年の大恐慌の時は株価が十分の一になった。今回も株価はピークの十分の一(約3900円)になる可能性もあると思う。‥‥(中略)‥‥経営者として、最悪のシナリオも考えておかねばならない」

 「円高はもっと進んだほうがよい」、「これだけ輸入資源が高くなると、円安が続けば資源小国日本は破滅しかねない。円高下でも高い技術力で独自製品を開発し、輸出競争力を維持するのが日本企業の進むべき道だ」

 日経平均株価が8千円を割る可能性があるという予測は民間エコノミストからも出ている。しかし、そのさらに半分になるというところまで言及した人は初めてではないか。私もそこまで落ちることはないような気がするが、根拠はない。企業も日本政府も、そうした最悪時には、どういう経済社会になっているか、いかなる対応が必要か、について想定し、その結果にもとづいていまから即応できる準備をしておくべきかもしれない。

 化石燃料、金属資源や食糧などが暴騰し、日本の貿易収支は大幅に悪化した。輸出立国の基盤にひびが入ったとも言える。これまでは輸出産業の経営を重視して円安に傾斜してきたが、今後もそれを続けると、資源輸入に依存する産業・企業や国民生活は窮乏化する。資源を輸入し、加工して輸出する産業も、原材料費など変動費の割合が上がるので、安定的に利幅をとることが難しくなる。

 したがって、私も、日本が生きる道は円高だと思う。産業では、高い技術力やデザイン力に基づく個性的な製品、あるいはサービスをできるだけ多く作り出し、円高でも、欧米並みの利益率が得られるような競争力をもつ産業・企業をたくさんつくることである。GDPの半分を超える民間消費は円高のもとで購買力が増すから、国民にはありがたい。この際、数土氏の言うように、頭を切り替え、円高を忌避するのではなく、円高を産業高付加価値化のエンジンととらえたい。

 それは日本の産業・企業が中国などアジア諸国のそれと真っ向からぶつかることなく、お互いが補完関係にあるような経済圏をつくることにつながる。 

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