« 自治体の監査を機能させよ | トップページ | 見栄っ張り、日本 »

2008年11月12日 (水)

分裂症気味の政治

 ここ数日、メディアが伝える政治の主要なテーマは定額給付金である。2兆円の配分方法をめぐって与党内にさまざまな意見が出た。まず先にバラマキ方針があり(政治のリーダーシップ?)、言い出した以上、初志貫徹をということでここまできた。政府・与党は、所得制限をするか否かは、配る実務を担う自治体の判断に押し付けた。

 受け取れる人は年間所得1800万円(税務上の定義。給与だと2074万円に相当)を下限とする(常識的には上限とすると表現すべきではないか)と政府は言っている。ということは、年収2000万円ぐらいまでの国民には給付金を受け取ってほしい、そして是非、消費に充ててほしいということを意味している。だが、一方で、09年度予算をめぐって、国の財政がいかに大変か、をメディアは伝えている。

 政府は、基礎年金の国の負担を09年度までにいまの3分の1から2分の1に上げると約束しているが、その原資、約2兆3千億円(毎年)を手当てするメドがつかなくて困っている。また、雇用保険に対して毎年、国庫が負担している1600億円を09年度はゼロにしたいと主張している。国の社会保障費が放っておけば毎年、約1兆円増えるため、政府は毎年2200億円相当をカットする方針をとってきた。そこで、保険財政に余裕がある雇用保険に目をつけたわけだ。

 しかし、緊急経済対策を必要とするほどに景気が後退し始め、失業増などの雇用問題がこれから大きな社会問題になるのは明らか。それなのに、雇用保険への国庫負担をなくすという発想は正気の沙汰とは思えない。

 法人税が予算を大きく下回り、また赤字国債を追加発行せざるをえない。財政危機にあるこの国の財政をみれば、2兆円の給付金の財源はもともとない。しかもこのバラマキの事務的作業に1000億円かかるという(ちなみに、年金記録問題への対応で、07年度125億円、08年度139億円の補正予算を組んでいる)。それらは皆、将来世代に負担を先送りすることになる(国・地方の長期債務残高だけで800兆円余にも膨らんでいて、いつ破綻してもおかしくないほどだ)。

 ブラウン英国首相が、この危機に対処するため世界各国が財政出動することを唱えている。それだからといって、日本が自国の経済実勢や自らの財政事情をわきまえずに、野放図に景気対策を実施するのは適切とは言いがたい。現政権のもと、財政に対するタガがはずれ始めたようである。

 それにしても、以前書いたことだが、日本がいま国際的な責務として求められているのは、バブルの経験を生かした世界経済危機脱出プランをまとめて早く世界各国に提示することだ。 

|

« 自治体の監査を機能させよ | トップページ | 見栄っ張り、日本 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/184848/43092822

この記事へのトラックバック一覧です: 分裂症気味の政治:

« 自治体の監査を機能させよ | トップページ | 見栄っ張り、日本 »