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2008年11月30日 (日)

地方財政をめぐる見方の対立

 総務省が11月28日、市町村等、都道府県それぞれの07年度普通会計決算、およびそれらを合算した地方公共団体の07年度普通会計決算の概要を発表した。総務省は「財政構造の硬直化が進んでいる」とのコメントを付している。

 だが、「地方債及び債務負担行為による実質的な将来の財政負担」のデータを見ると、市町村等、都道府県の両方とも07年度末は06年度末に比べわずかながら減っている。地方債など将来の財政負担がいくらか少なくなっているということだ。市町村等と都道府県とを合算した地方公共団体の07年度末の実数は135兆9432億円で、06年度末の137兆7800億円より微減である。

 それなのに、総務省は地方財政が悪化しているとの主張を繰り返している。11月26日に開催された経済財政諮問会議においても、総務省の鳩山邦夫大臣が「地方の財政状況について」という説明資料を提出。その中で、去る9月24日に地方六団体が麻生内閣発足に当たって出した共同声明をそのまま引用している。そのさわりの部分を紹介すると、「危機的な状況にある地方財政を直視し、早急に地方交付税を復元・増額するとともに、地方を活性化するため地方再生対策や景気対策に効果的に取り組むこと」となっている。

 鳩山総務大臣の提出した資料の中には、「我が国の地方の債務残高は「対GDP比」「対『国』比」ともにOECD諸国の中で突出し、その抑制が課題」という指摘もある。日本は国の債務残高が地方の約3倍だが、OECD平均では約8倍という。また、今後の景気の落ち込みを意識して「地方公共団体の安定的な財政運営に必要となる地方税、地方交付税等の一般財源総額の確保が大きな課題」と記述している。

 これに対し、財務省の中川昭一大臣はやはり経済財政諮問会議に09年度予算の編成等に関する財政制度等審議会の建議の要約を提出、総務省に反論している。「三位一体改革以降、地方税と地方交付税等の合計である地方一般財源は増加。地方全体としては、一般財源比率が上昇するなど、むしろ財政体質は改善」している。

 「地方財政の危機的状況は、三位一体改革による税源移譲に伴い、税源偏在が拡大し、地域間格差が拡大したことによる側面が大きい」。したがって、地方の行財政改革を進めて歳出抑制を図るとともに、財政力の弱い自治体の財政状況を改善するため、地域間格差の是正に努めるべきだとしている。

 総務省は馬鹿の一つ覚えみたいに、地方財政にもっとカネを、と唱え、財務省のほうは、地方は甘ったれるな、と突っ放す。白日の下で、国と地方の財政のありかたについて両省が意見をたたかわしたらおもいしろいと思うのだが。

 それはさておき、国の財政状況は、08年度に景気対策をしたり、税収が大幅に予算を下回ったりするため、国債発行の純増が30兆円を超える見込みといわれる。プライマリーバランス云々さえもが霞みつつある政治状況になってきている。とはいえ、非常事態への対応(バラマキはダメ)で、日本の財政危機がさらに深まるにせよ、本来の財政健全化路線に可及的速やかに戻るという基本原則は忘れないでもらいたい。

 

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