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2008年11月15日 (土)

見栄っ張り、日本

 ワシントンで開かれる金融サミットを前に、中川昭一財務・金融担当相がIMFのストロカーン専務理事、世界銀行のゼーリック総裁と相次いで会談した。それぞれの会談において、日本政府は金融危機に対応して、巨額の資金を提供する意向を表明したという。先進国で突出して財政状態がひどいのに、何かあると、すぐ、カネを出しますという日本の悪い癖がまたぞろ出た。

 IMFに対しては、新興国への緊急融資などに充てる原資として、日本の外貨準備から最大1000億ドルを貸し付けるという。1兆ドル弱ある日本の外貨準備高は、それに見合う国債(約100兆円)を発行して得たカネでドルを買った残高である。だから、IMFへの融資の上限1000億ドルというのは、国債約10兆円を発行して得たカネで購入した外貨(実際には米国国債がほとんど)である。しかも、融資とはいえ、返済条件いかんでは、そう簡単には返らない。

 したがって、国の財政状況が日本よりもはるかに健全な西欧主要国でさえ、申し出ないような巨額の融資を日本一国で提供すると言う前に、世界各国に分担してIMFに貸し付けるように働きかけることのほうが、日本国民の利益につながるのではないか。

 英国のブラウン首相は日本がカネを出すのに賛成し、産油国にも出してもらえたらいいとの意向を表明したようだが、英国自身がIMFに融資するとは言わなかった。国益を考えてのことだろう。

 また、中川大臣は世銀との間では「途上国銀行資本増強ファンド」(仮称)を設立することで合意し、国際協力銀行が20億ドル、世銀グループのIFC(国際金融公社)が10億ドル、合わせて30億ドルの資金を3年間に提供することになったという。これも、他の国々と共同ではなく、日本単独でカネを出すという話だ。

 いいことだから、カネを出したらいいというのは、国際社会では、いい鴨にされるだけだ。個人レベルで考えてもすぐわかることだが、やたらカネをばらまく奴は尊敬されない。カネをばらまくことが外交だと勘違いしている外務省は、いまだにODA(政府開発援助)の予算が減ったことに不満を言っているようだ。しかし、財政再建が急務になっている国、日本の外交は、知恵(戦略的思考、構想力、行動力、組織力など)で勝負するしかない。頭の切り替えが日本の政治家、官僚に求められている。

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