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2008年11月 9日 (日)

社会保障制度の綻びに対する経済界の懸念

 日本経済団体連合会の月刊誌「経済Trend」は11月号で「今こそ税・財政・社会保障の一体改革を」という特集を組んだ。いろいろな立場の人たちが登場していて参考になる。

 経団連は先頃、消費税引き上げを含む一体改革に関する提言をまとめた。それに関連したこの特集を読むと、「特に社会保障のほころびは、国民の不安を招き、国全体の閉塞感につながり、ひいては経済成長を阻害する大きな要因になります」(張富士夫日本経団連副会長・、トヨタ自動車会長)との認識に立っている。そこで、「日本が目指すべき将来像を明確に示し、その下で税制や財政、社会保障制度の改革を一体的、連続的に進めていく必要がある」(大橋光夫日本経団連評議員会副議長・昭和電工会長)としている。

 特集号を読みながら、「この人はこんなことを言っているの」と思いつつ、私が横線を引いた個所の一部を抜き書きすると――

 古川元久民主党税制調査会筆頭副会長=「特に担税力の高い人や企業ほど容易に国境を超え、納税する場所さえ選択する時代になっている。」、「消費税については、税収はすべて社会保障以外に充てないことを法律上も会計上も明確にする。」

 吉川洋東京大学教授=「医療費には効率化の余地があることは事実だが、大きく見れば先進国で医療費がGDPの成長率より高い伸びを示すのは、医学・医療技術の進歩を反映したものだから、医療費そのものの抑制を自己目的化することは正しくない。」、「EUに加盟する条件の一つが「消費税率15%以上」ということの意味合いを、われわれ日本人はもっと真剣に考えてみる必要があるのではないだろうか。」

 土居丈朗慶應大学准教授=「消費税の負担は逆進的ではなく、(生涯)所得に比例的になると理解するのが正しい。」、「(深刻な逆進性を持つ)社会保険料に代えて消費税で社会保障財源を賄えば、逆進性の緩和につながる。」、「所得控除を税額控除に換えつつ、給付付き税額控除を導入して低所得者に配慮する方法があろう。」

 山重慎二一橋大学准教授=「社会全体で高齢者を支える社会保障制度の下では、子どもたちが、社会全体に大きな便益をもたらす存在(公共財)になるという認識は重要である。」、「自分は子どもを持たなくても、他の人が子どもを生み育ててくれれば、社会保障制度を通して、老後の生活は保障される。だから、無理して結婚して子どもを育てる必要はない。そう考える人たちが少しずつ増えてきたことが、未婚化、晩婚化、そして少子化の一因と考えられる」、「子育ての支援のための費用負担を社会全体で、たとえば消費税のような形で、広く求めることが望ましいのである。」

 富田俊基中央大学教授=「(国債金利など)マーケットは将来の財政事情を先読みしている」、「国際金融市場はわが国財政に懸念を抱き、日本の債券にリスクプレミアムを求めているのである。」

 森田富治郎日本経団連副会長・第一生命保険会長(座談会での発言)=「所得税において各種控除制度を極力、税額控除方式へと組み替え、子の数によって累進的に増加する税額控除制度を創設することで、中低所得層の子育て世代に減税となるような集中的な支援を行うことが必要です。」

 津島雄一自由民主党税制調査会長(座談会での発言)=「無駄なことをやってはいけないけれども、必要な時は財政が出動して必要な仕事は行う。これまでこの財政の機能を少し軽視し過ぎていたと思います。」、「少子化対策が一番成功しているフランスでは、その対策に約10兆円使っていますが、日本では5兆円にも達していません。」、「特別会計全体で見ると、資産と負債の差額が68兆円あり、それを使えばよいということですが、黒字だけ集めると68兆円あっても、負債も考えると、実は289兆円の赤字になっています。」

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