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2008年11月20日 (木)

社会保障国民会議の最終報告

 11月4日に発表された「社会保障国民会議 最終報告」を読んだ。年金、医療、介護などの問題点をどう改革すれば国民が安心できるセーフティネットになるか、を議論し、まとめたものという。社会保障制度は、政権が野党に移るたびにくるくる内容が変わるのは好ましくない。そういう観点から、福田首相のとき、民主党など野党にも参加してもらうつもりで社会保障国民会議を設けたが、野党が応じなかったといういきさつがある。

 とはいえ、社会保障国民会議では縦割りを排し、現在の社会保障制度が抱える課題や欠陥を列記し、それらを是正するためにどうすべきかを網羅的に書いている。それはそれとして理解できるが、制度改革の中身を個別・具体的に書いているわけではないので、説得力に欠けるうらみがある。

 その意味では、政治家がこの報告を有効に生かしてくれるかが肝腎だが、報告の発表をもってハイ終わり、というようなことになっているような気もする。

 「給付の裏側には必ず負担がある。」と報告に書いてあるように、社会保障制度改革の最大のポイントは、増大するサービス需要を賄う費用をどこの誰が払うかである。誰に払わせるかであると言っても同じことだ。とともに、既存の制度を効率化して、ムダを最小限に抑えることである。それには既得権益を持つ組織や人の抵抗を排さねばならない。そこはまさしく政治の出番である。

 その一番重要な点について最終報告はほとんど触れていない。読んでいて、物足りなかったのはそのせいだろう。

 ところで、厚生労働大臣の諮問機関である社会保障審議会の年金部会が、年金制度改革に向けた中間報告を19日にまとめた。これは基礎年金の拡充をめざして4案を提示している。さらに、より多くの高齢者が基礎年金を受け取れるようにとの制度改定を提示している。しかし、それには保険料や税負担の引き上げが必要であるが、国民の誰にどれだけ負担させるかについてははっきりしない。

 社会保障制度に対する国民の不満は高まる一方である。しかし、国民に対して、フリーランチはないこと、金持ちからふんだくればいいといった短絡的な発想では国民経済の発展はないこと、現役層から高齢層への所得移転が行き過ぎると日本の将来は暗いこと、等を政治はきちんと国民に理解してもらわねばならない。そのための努力がまず先だと思う。

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