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2008年11月18日 (火)

『日本は財政危機ではない!』が暴く官僚の腐敗

 小泉内閣と安倍内閣で郵政民営化、公務員制度改革などの改革プランを描いて、その実現に奔走した高橋洋一氏は財務省出身とはいえ、省益に立たず、彼の信じる国益に沿った諸改革を実現しようとしてきた。そして霞が関の官僚機構に忌み嫌われ、排斥された。

 同氏の新刊本である『日本は財政危機ではない!』は、日本の「官僚内閣制」の実態を主として財政の視点から明らかにしたものである。本書のエッセンスは241ページの以下の文章に示されている。

 「財務省をピラミッドの頂点とする官僚機構にとっては、議員内閣制など無きに等しい。彼らは与えられた権限を拡大解釈し、官僚による官僚のための政治を行ってきた。」、「官僚は大臣や族議員を取り込み、思いのままに操って、自分たちに都合の悪い政策はつぶし、利権につながる政策だけを実現させてきたのだ。」 

 同氏は「霞が関埋蔵金50兆円リスト」を挙げて、消費税増税云々の前にやるべきことが多々あることを指摘している。また、本書では、年金制度改革などについて、独自の視点で改革の方向を示す。それらの改革案は、経済学の理論を踏まえ、かつ霞が関官僚や政治の仕組みと実態を十二分にわきまえたうえでの具体策だけに、納得することが多い。

 霞が関の中枢にいる官僚たちの中には、自分たちの権益を守るため、平気でウソをついたり、インチキ文書をつくって地方自治体に流したりする者もいる。そうした実態も本書に書かれている。

 高橋氏は「終章  道州制で変わる日本の財政」で、「私が理想としているのは、「道州制を目指し、平時では市場原理ベースの社会、非常時に強い国」である。」と述べている。国の役割が道州に移れば、小さな中央政府になり、「中央レベルの官僚内閣制も自然消滅するだろう。」という。

 そして、「現在の不況や財政の破綻は、日本の国力が落ちたからではない。取るべき政策が、十分に採用されていないことに起因しているからだ」とも指摘する。

 本書198ページ以降で、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)に関して、ことし5月の経済財政諮問会議で民間議員から出された提案を批判している。高橋氏によれば、GPIFはグリーンピアなどで巨額のムダづかいをした年金福祉事業団が看板をすげかえただけ。同じ運用スタッフが業務を手がけ、前と同じように運用を丸投げしているという。「そんな厚労省の役人の天下りのためだけにある不要な独立行政法人が経済財政諮問会議を取り込み、もっともらしい理由をつけ、給料の値上げや(横浜への)移転の中止を要求している。」と厳しく批判している。

 このブログの5月25日付け「公的年金基金運用体制のありかた」では、この諮問会議のグローバル化改革専門調査会の報告を取り上げ、西欧の国々並みに運用成果を上げるようにすべきだと書いた。しかし、本書の「東京に住んでいる天下りのOBたちが通勤時間が長くなるのは嫌だというので、移転中止を求めているという話も聞いた。」、「これは私を含めて、霞が関に関係のある人間ならみんな知っている話」などといった裏があっての報告書だったとすると、私も考え直す必要があることになるが‥‥。

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